2018年12月6日木曜日

HOT ROD CUSTOM SHOW 2018 #3




2014年完成の参号機。

人のバイクは作らないという大神戸河田氏ですが

長年尽力してきてくれた機械加工担当の黒田屋さんのために製作された一台ですね。


機械加工屋さんのバイクらしく、自分で削った部品が使えるように

その技術を駆使して、つまり共同で製作するというスタンスで製作が進みました。

フロントエンドはナローなインディアンガーター風リジッドフォーク。

本来のテーパー角を生かしてロング化すると太くなってしまうので

モチーフとしてはインディアンのソレですが勿論イチから計算して作られてマス。


ホイールは勿論、鉄の削り出し。

繊細な十字断面の18インチ6スポークはわずかにテーパーがかかってる。


カンパニョーロのスポークがイメージソースに在る所が元峠族らしいですね( ´∀`)

6本スポークでスポークを細くする為に強度を確保するという意味も当然あるでしょう。


リアは14インチで勿論削り出し。

ハブまで小さく製作してドラム側も機械加工で合わせてある。

カッコいいホイールを選ぶのは改造の楽しみではありますが

意匠をイチから決めて製作するという苦労は並大抵ではありませんね。

がしかし、その結果得られるものはご覧のように絶大です。


アクスルプレートは純正形状ベースに鉄板を足して削り込んでシャープな形状に。


フレームワークの最大のポイントとなる一本足。

クランクケースを避ける為に底が大きく膨らんでしまうのが難点ですが

パイプで逃げずにケースにビタ寄せのマウント部分にエンジンを抱かせるてある。

スマートに見えるだけでなく最低地上高も確保されているところもポイントですね。


一本足とすることで恩恵を授かるのが、リアレッグで

限りなくシャープにできるうえに立ち上がり部分をかなり自由に設定できる。

それにしても底面にまで及ぶ美しい造形には溜息が出ますねぇ。


チェーンやメカドラムのリンクもギリギリで通るようになっている。

ミッションマウントはリアレッグの立ち上がりに合わせる形で

純正フレームをベースにしたショートフレームの場合と違いスマートに処理されている。


シートポスト部の裏やポスト自体にも小さく造形が重ねられていますが

これが為にエンジンを搭載するのは4人がかりで緊張する作業でした( ´∀`)


一本足とする事でジェネレーターケースにピッタリ添うフロントのマフラー。

1-3/4インチでは太すぎてこれも細いパイプで製作されています。


ネックはリジッドフォークである事を考慮して幾重にも補強が入れられている。

ネックパイプは黒田屋さんが自身で削った部品。

塗装表面にヘアラインクラックが入っていますが、丁度ネックカップとの境目で

実走行により寝かされたステム角度によってカップが引っ張られた結果でしょう。

こういう実走してから初めて応力がかかる部分は仕方ないですね。


ペイントはおなじみの田中屋塗装店。

白という塗装の性質上、どうしても膨張して見えてしまいますが

各パイプを旋盤で細く挽いてあると共に

色味をかなり調整して膨張をおさえてある。


フルモールディングの外装ですが、各部にかげを落として陰影を出すという

恐るべき手間がかかっていてビビります( ´∀`)


ハンドルも黒田さんが作っていました。

バーとの接合部は古のハーレーのハンドルのような造形。

この時河田氏は足を骨折していましたので大変でしたね。


ほんの僅かに裾を拡げてある。

これくらい控えめにしておく事で、繋がりを綺麗に見せるように狙ってますね。

私も製作時によく見させてもらっていたので思い入れのある車両です。


キャブがDCツインになったり、製作後も手を入れられています。

自分のバイクを作るのとは違って人の為に作るとなると

オーナーの姿が投影されていきますし、深い信頼関係の上で成り立つもので

そういう意味ではこの参号機は

とても大神戸共榮圏らしい一台だと思います( ´∀`)