2022年9月28日水曜日

ガタガタの74スプリンガー修理完了。

 みなさまごきげんやす。

コウバ長です。


さてガタガタスプリンガーの修理も佳境で、頼んでおいた部品類が届いたので作業開始です。

今回はダイスではなく、テーパーベアリング用のコーンナットを用意しまして

ネックベアリングもバッチリ打ち替えて

ウキウキしながら組んでいきますがアレレ、、

ステムシャフトが殆ど残りませんで。


リアレッグとステムシャフトをチョン切っちゃってるんですね。

ネックを寝かせているので標準の長さだとトップティーがタンクに干渉するのかな?


そんなワケできちんとベアリングにプリロードをかけられて

トップティーを良い位置まで沈ませられるように色々対策しまして


しっかりと組むことができました。

これでハンドリングは劇的に改善されますね。

ちなみに元のガタガタの状態はステムが緩んだとかではないです。

構造上、ベアリングの破損以外でステムにガタは出ません。

さらにはプリロードをかけているコーンナットも緩むことはありません。

過去に作業したガタガタステムもそうですが、最初からそういう状態だったんです



言いたくはありませんが、組み付けや調整のミスが多いんですよね。


次いでフロントブレーキシャックルのガタを直していきます。


これは単純にブッシュの摩耗ですが

足回りがガタガタ動くせいで皺寄せがこういう箇所に及んでしまいます。


ブッシュ打ち替えと内径ホーニング調整。


一度調整していますがロッカー周りを再度調整して新品のロックタブを使って組み上げます。

ちなみにアクスルシャフトが挿さっているのはアライメントを見る為です。


前記事にある動画と違いだいぶシャキッとしたかと。




さらにベルトに干渉するサイドスタンドを対策しつつ

この人間工学的に操作し辛いシフターも改善します。

シーソーペダルを使っている事から正規の位置では後ろ側のペダルがプーリーに干渉するのと

移動したフットペグのマウントに対してシフターペダルが真っ直ぐなので

正規の位置にするとペダルが干渉して踏み込めなくなる。

と、いうのがこのシフターの角度の理由です。

が、この配置だとアップもダウンもフットペグから足を浮かせなければならず

支点がない状態でのシフト操作を余儀なくされてしまい

走らせるのもストレスになります。

まぁトルクのあるハーレーなのである程度は誤魔化されるんでしょうが、、


こうしておけば普通にシフト操作が可能です。

これもご依頼頂いていた作業ではないのですが、

乗りにくいバイクってやっぱり距離を置いちゃうんですよね。

逆にいつでも気持ちよく走らせられるバイクってすごく信頼をおける。

私の信条として、どんな改造車でもポンコツでも

気持ちよく走らせられる事が絶対なんです。

だってバイクに乗るって特別な、とびっきりの時間じゃないですか。

そこで要らん我慢を強いられるとか

そんなのですからね。

まぁそんなワケで残りの作業を進めて気持ちよく車検を受けてきたいと思います。


そいではさらば!




2022年9月22日木曜日

ガタガタの74スプリンガーを修理す。

 みなさまごきげんよっす!

コウバ長です。

長年の眠りから叩き起こされつつある90FLSTC。

リアエンド、エンジン周りに駆動系と作業を進めてフロントエンドへ移行します。

今回はブレーキシャックルのピボットのガタの修理も承っておりましたが。


ガタを確認してみますとシャックルだけでなく

リアレッグのロッカーのピボットがガタガタと動いていまして。

ロッカースタッドが前後で逆に組んであるのも気になります。


そしてステムもガタガタ。

ホントうちに入ってくる改造車はコレ多いです。


リアレッグのボルト穴は0.6mm削れて拡大されてしまっていて

コレをどうしたものかと考えて色々方策を練ったりしましたが

そもそもパイプを潰しただけの部材なので、ロッカースタッドをきちんと固定して

ロッカーが全てスムーズに動くようになればココへの負荷は大きくないと判断し

一度キチンと組み直してみる事とします。


と、言うのもロッカーが調整されていなくて全然動いてなかったんですね。

ロッカーが動かないので路面から受けた衝撃は全てピボットへ逃げてゆき

想定以上の負荷がかかったという事です。

ロッカースタッドには腐食痕がありますが、動いていないので当然こうなります。


このスタッドが生えたヤツは本来リアレッグ側に装着されますが

本来入る大きなスペーサーではなく数枚のワッシャーを重ねてあります。

この構成だとグリスがどんどん外へ出てきてしまいます。


スタッドとブッシュを交換しようと思いましたが

寸法を測ると摩耗は見られず

まぁ動いていないので当然ですが、、

ホーニングと研磨で何とか再生していきまして。


仮組みして一旦調整しておきます。

前側のデカい6角は特に調整が微妙で、車体に全て組まれた状態だと調整不可能です。

ココはスプリンガーにとって肝心要の調整部分なので

面倒でも負荷を抜いて単体で調整しなければなりません。


ステムは見慣れないコーンナットが、、、


ダイスですね。

こんなモノで締めていて適切にプリロードをかけられるワケもなく。

これはちゃんとテーパーベアリング用のコーンナットに交換するとします。


油っ気の無いロアーベアリング。

上下ともベアリング、レースを打ち替えます。


赤茶色に錆びてしまったスプリングは油を入れてしっとりさせておきます。

せっかくフォーク全バラしていますので( ´∀`)


一旦仮組みして、弾き出した必要パーツが揃うまでしばし待ちです。

スプリンガーは単純構造ですが、それだけにきちんとした組み上げと

適切なメンテナンスを要する部品ですので

車検毎にチェックするくらいが丁度良いですね。

フロントエンドを組み終えたらレッツ車検です!


ではさらば!








2022年9月9日金曜日

BDL。

 

みなさまごきげんよす。

さて7年の眠りから目覚めるべく’90FLSTC90さん。

色々メンテしてエンジンは安定してかかるようになりましたが、

アイドリングが五月蠅い。

ガラガラガラガラ、、

ご依頼にはありませんでしたが、追加作業にてこちらも修理します。


原因は簡単で、クラッチのフリクションプレートのガタですね。

コレはいくら調整しても直りません。


インナープライマリー改のベアリングサポート。


本来のご依頼であったメインシャフト周辺のオイルシールをまず交換しまして。

クワッドシールの交換も勿論忘れずに。


クッタクタのチェーンも交換。

メードインジャパンのシールチェーンです。

シールチェーンの何が良いってチェーン表面の綺麗に保てる事です。

ところでトルクも車重もあるのにハブダンパーを持たないハーレーの場合、

チェーンの寿命が一般的なオートバイより短いです。

まぁだから進化の過程でベルトドライブになったんですが。

なのでチェーンは確かな品質のものをしっかりメンテナンスして使うべきです。

もうね、バイクの部品でケチって良かった事は一度たりとも無いですよ。



油ギトギトも解消されて綺麗サッパリですね。

ご存知の通り90年式なのでメインシャフトはスプライン。

それまでのテーパーシャフトと違ってプーラーが要らないので楽なんですが

グリスで張り付いていて結局プーラー使いました。

ちなみにBDLのこのタイプは4速の5スタッドや3スタッド用の穴がいっぱいあいた奴が

少し工夫すれば使えますですよ。


で、ガタガタの原因はフリクションプレートのこの部分の摩耗で

新品と比べるとご覧の通り。

アルミなので弱いんですよね。

しかしながら、BDLとしてはクラッチシェルに段付きが出来るよりも

プレートが減った方が良いと考えている感じで

アルミなのは放熱のこともあるでしょうが深い事情がありそうですよね。

まぁ一般的なクラッチシェルと違ってBDLの場合、段付きになるのはクラッチドグで

12本あるこのドグも交換可能になっていて非常によく考えられています。

1番の消耗品であるフリクションプレートをヒューズにしているわけですね。


しかしBDLとしても耐久性には疑問があったのか

現行のフリクションプレートはドグに噛み合う部分が倍になっています。

これによってフリクションプレートは倍使えるようになるわけですね。

摩耗したプレートは磨材の厚みがまだ十分ある事から

恐らくドグ部の寿命の方が圧倒的に短いんじゃないかと。

まぁ乗り方にもよりますけどね。


このクラッチ自体はメンテナンスもよく考えられていますが

特に半クラが多いというか長かったり高いギアで無理に走らせたり

はたまたジャダーを放置していたりすると寿命が一気に縮まります。

良い品なので定期的にメンテナンスして長く使いたいですね。


やかましいガラガラ音も解消しまして音的にも随分スッキリしました。

駆動系が終わりましてお次はフロントセクションの作業に進みます。

そいではさらば!






2022年9月3日土曜日

西風の車検。

 みなさまごきげんよう。

9月に入ってしまいまして。

油冷や空冷に優しい季節の到来ですね。


やる事沢山ですが一般的な車検等は受け付けております。

今回はゼファーの400と言うかゼファーと言えば400なんですがZR400C。


安物の4-2-1管をMRSかな?4-1集合のショート管に戻しつつ


車検整備を行なっていきまして。


Zファーザーのアルミ鋳物のアルフィンカバーですねぇ。

ペナペナのプラッチッキーなヤツもありますが、サイドカバーがアルミってのは、、、

イイですな!


回転の戻りが遅くてレンポンス悪くアイドリング不安定って事で

同調とっていきます。

こうして見ると大体揃ってる雰囲気なんですが


きちんとツメてからキャブ調整してあげて

スロットルケーブルも適切に調整しましたらば絶好調です。

こういうちょっと調子悪い系の場合はキャブを洗ってみたり色々しますが

細かいツメの問題である事が多いです。


細かいといえば燃料ホースとフィルターも。

カチカチになって小さなクラックから微妙に漏れています。

こういったホムセン系耐油ホースは入手は楽ですが寿命短いです。


こういうのは蔑ろにせずきちんと交換。

ネオプレーンコートされたこちらは耐久性高いです。

ホースバンドは絞め加減がアレですし針金クリップはホースに食い込むので

幅のあるこういうクリップが脱着もし易くホースを傷めません。

ステップレスイヤークランプがベストですが、アレはユーザーにとって面倒な面もあるので。


そしてWR’Sのバトルステップが取り付けられていますが、様子がおかしいですね。


マスターは裏につくべきですしロッドのリンク類や整列もおかしい。


リザーバーへのホースも折れて塞がっていますし。


これじゃブレーキなんてマトモに効きませんし

ブレーキランプスイッチもちゃんと引けておらず。


このプレート固定ボルトに至っては締まってないし。


シフター側はロッドがフレームに干渉。

コントロール系は如何にストレスなく稼働するかが命ですから、コレはダメです。


メーカーへお願いして取り付けにあたり足りていない部品類を送ってもらいまして。


マスターシリンダーのプッシュロッドは分解してロッドエンドに変更し


フレームとの間に7mmのスペーサーを入れてプレート固定。

マスターは勿論裏側です。

表にマスターがあったらヒールがホールドできませんから乗りにくくなっちゃいます。

ブレーキスイッチの引きバネも専用品に交換。

ネジ山が無くなっていたりで少し違う部分はありますが

きちんと取り付けできました。


ホースもステップが上がった分きちんと短縮。

フルードをケチってたらダメです。


こちらも7mm外に出してロッドの干渉を回避。


フルード交換、エア抜きしまして完成っと。


ハンドル交換でメーターに干渉するクラッチケーブルに

スポンジをビニールテープで巻き巻きして保護してありましたが


スマートな見た目に直しておきました。

ココはケーブル交換の際に曲がりの角度が違う物を探して回避するのが良いですね。

ケーブルやハーネスの整列は思いの外バイクの印象を変えるものです。

まぁこんな調子で細々色んなところを修正して

構造変更検査を受けましてお渡しオッケーです。


イエローボールはZ1の欧州仕様で出てきた色なんですが、今やゼファーの色ですよね。

族車風(あくまでも風ね)ではなくて往年のZが好きな90年代走り屋な雰囲気でイイな。

こういう風情だとアールズのフィッティングの色味も嫌いじゃない。

イヤ、ここは敢えて赤青に統一しときたいくらいですな。

オーナーが21歳というのも驚きですがw

ゼファーは何にも無いスッピンなバイクです。

決して速くはないんだけどすごく素直。

だから上手に走れるようなるには打って付けのバイクなんですよね。

車で言うところのハチロクみたいなもんです。

これからも大事にして、バイクと共に成長していってもらいたいですね。

私もちょこっとだけお手伝いさせてもらいたいと思います。


ではさらば!