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2023年5月15日月曜日

ドラッグスター400納車整備。

みなさまごきげんよう( ´ ▽ ` )

バイクシーズンなのに微妙に雨ですな。

雨が上がるのは良いのですが路面が中々ドライにならないのでもどかしいです。

さて本日は20年前の中古車の納車整備です。


昨年末に購入して今年初めに届いた2003年式ドラッグスター400

後期型の距離が浅い全くのノーマル車両を探しに探しまして

見つけたのが走行距離12,000kmのこの個体です。

オーナーが間もなく免許取得と言う事で納車整備に突入です。

さて、走行距離12,000kmとなるとさぞ程度が良いと思われがちですが

果たしてどうでしょう。


とりあえず、この車体は錆が酷いです。

メッキのアンダーブラケットは


ペリッとメッキが剥がれる始末。

恐らく保管中に錆びちゃったんでしょうね。

20年間で12,000kmって、実際走行してる時間はかなり少ないワケです。

つまり動いていない時間は年単位ですから。

アンダーブラケットだけでなくインナーチューブにも錆があり

右側のフォークオイルが漏れてきているので


部品を揃えてオーバーホールしていきます。


ついでにステムもメンテナンスして

トリプルも中古ですが錆びていない物に交換するとします。


漏れていないけど劣化した左のフォークオイル。

距離的にも交換時期です。


オイルシールは汚いですが漏れは無し。

インナーチューブ摺動部にこの点錆びだと実走行したら漏れ始めますね。


対して漏れてた右側フォークのオイルは明らかに交換されていますね。

フォークオイルの劣化度合いが左右で違う事はあるのですが

これはそういうパターンじゃないです。


恐らく右側は一度バラしてあるっぽいですね。

長期放置車や低走行距離車の場合、こういったゴム類がまずダメです。


今回はオイルシールだけでなくインナーチューブも新品交換します。


オイルシールはお馴染みのアリートを使います。

ホントこのオイルシールは性能も耐久性も良くてお気に入りです。

当方では現在、ハーレーも国産車も全てこのオイルシールを使用しております。


オーナーの体重と主に走るステージに合わせて

ちっとセッティング変更してダンピングを強くしておきます。


ステムも綺麗にしておきまして。

トップブリッジも磨いたのですが、用意したのは前期の4TR用でして

後期型VH01Jはトップブリッジにブッシュ圧入でラバーマウント化されているので

トップブリッジは元のヤツを使う事としました。


おおー、スッキリした!

それにしてもこの純正のウインカーステーは秀逸です。

ゴムのベースに裏側は配線を通す溝がモールドされていて

軸にM8とかM10のぶっといスタッドやナットが出ない装着方法。

ウインカー自体もコンパクトで文句のつけようがありません。

なのにすぐ錆びる安物のウインカーを

これまたすぐ錆びてボルトやナットが露出しまくる安物のクランプで装着するとか

品質を落としたうえに大してスマートにもならない行為に金を使うとか

まったくどうかしてますよ。

せっかくウインカー交換するなら

高品質で高耐久でスマートに取り付けできるブツをセレクトしましょう。

おっと、、微量な毒を吐いてしまいました。


さて、距離浅の低年式車で大抵ダメなのがブレーキです。

動いていない=キャリパーピストンも出たまんまです。

まぁポンコツ慣れしていなくてこの状態を目にすると悲劇的な衝撃を受けましょうが

こんな状態でも結構大丈夫なんですよ。

いや、そのまんまはダメですよ。修理可能と言うことです。

オイルシールとダストシールは問答無用で交換しますが。

ちなみにピストンの状態がよろしくないのに揉み出しなんかすると事態が悪化します。

揉み出しする手間をかけるならピストン抜いちゃいましょう。


元の状態はパッと見サビサビに見えますが

意外とピストン自体に朽ち込みは少ないものなんです。

ピストンそのものが錆びるというより、積層したダストが固着して錆びてるんです。


ブレーキダストはブレーキパッドが擦り減った粉と思われがちですが

パッドのカスは殆ど飛んでしまうので

残留して錆びるのは殆どがディスクローターの削れカスつまり鉄粉です。

なのでこういう薄っすら錆びて汚らしいブレーキローターも


丁寧に研磨洗浄してあげるとこんなに綺麗になります。

綺麗にする事でパッドの当たり面やローターの摩耗具合もわかりやすくなりますし

何より気持ち良いですよね。

ローターボルトは新品交換です。


フロント周りの作業が続きまして

ドラッグスターやスティードに使われている銀色の配線被覆。

コレ、茶色く変色してキモい事になるんですよね。


被覆し直す事でかなり気持ち良くなります。


このボロ隠しにコルゲートチューブを被せたりしがちですが

アレはハンドルを動かすとパキパキうるさいし

柔軟性が無いので綺麗に取り回せず

尚且つ通気性も無いので

全くオススメ致しません。


純正でも意味のある箇所にはコルゲートチューブが使われていますが

バイクのハーネスをよーく見ておくと

どこにどういうモノが使われていて、その意図は何なのかがよくわかります。

何でも適材適所です。


錆びて汚いうえにケーブルを傷つけがちな鉄のガイドは捨てました。

クロームも綺麗でだいぶ引き締まりましたね🎶


メーターダッシュの固定ボルトも全て新品交換しました。

やっぱり常に目につく箇所は綺麗な方が良いです。

その後全体的に鬼洗車をかましまして。


1月のこの段階でも一度洗車していますが

佇まいがどよーんとしていて

引っ張り出されてきたポンコツ感が滲み出ております。

まぁどよーんとしているのは天気のせいもありますが( ´∀`)


パリッと!

ちなみにこの車両、バイク屋で普通に売られていた個体を私が普通に購入しました。

私はベース車としてしか見ていないので良いのですが

一般ユーザーが通販なんかでこの車両を購入しちゃったらマズいですよね。


後はキャブの同調とって中古新規登録して試乗してお渡し。

ボロいところはあるけど素性の良い車両だったので良かったですね。

まぁそういうつもりで購入してるんですが。


ホントこうして見るとよくまとまったデザインですよねぇ。

そういえば400のクルーザーがガラパゴスだと以前書きましたが

カワサキがエリミネーター400を投入してきましたね。

最近のカワサキはZX25RやらZX4Rやら、隙間をブスッと突いてきますな。


ちょいちょい傷や錆びはありますが、20年前の車両としては良いレベルかと。


ちなみにマフラーもバフポリッシュしています。


ヘッドライトは前期4TR用でスマート化。

誰も気付かないとは思いますが( ´∀`)


メッキパーツはひたすら磨きまくってあります。

ところで中古車が未だに人気の昨今ですが

低走行距離が有難いのは高年式車だけです。

低年式車の場合は走行距離よりもメンテナンス度合いを見た方がよろしいです。


通勤車と違って趣味のバイク自体はそれほど距離を稼がない個体が多いものの

車齢20年くらいが境い目になると思います。

例えば年間3,000km走れば20年で60,000kmです。

乗りっぱなしだととんでもねーポンコツですが

20年落ち60,000kmでも綺麗に維持してメンテナンスも怠っていなければ

年間走行距離にしてたった600kmのこの個体とはまた違った状態になるでしょう。


よく中古車選びのポイントを訊かれるのですが

距離だけを見るのではなく素性をよく見る。

額面だけ見てるのは一番良くないですね。


使われているパーツや改造、改良されている箇所をよく観察する。

そうすれば前オーナーがどういうスタンスで向き合っていたか

愛されていたのか飽きられていたのか

そういうことが浮き彫りになってきます。


良い車両は佇まいである程度わかるものですが

こんなところまで手を入れてるのか!

とか、こんなとこを綺麗にしてるのか!

みたいなポイントが多ければ多いほど良いですね。

どうしようも無いポンコツなのか、磨けば光る原石なのか。

あるいは最初から宝石なのか。


そういった佇まいを感じられる眼を養っておくと失敗が少なくなります。

イベントなんかに来ている車両とか、無造作に路駐されてる車両とか

通勤に酷使されてるスクーターなんかを見比べるとよくわかりますね。

まぁ車齢20年ともなると大幅な整備がほぼ確実に必要になってきますから

その辺もコストとして考えておく必要はあります。


これから細々と手を入れていくとどんどん良くなるなぁ。

ぼちぼちとボルトとか細かいパーツを交換していくのも楽しいですよね。

免許取得して初めてのオートバイ。

こういう仕事を任せていただけるというのは本当に有難い事です。

御用命ありがとうございました。

納車日が楽しみですね♪


それでは!


※Information※

○お問い合わせに関するお願い○

作業に関するご相談、ご予約等のご連絡は基本的にE-mailかLINEにてお願い致します。

LINE:radjalopy

Mail:ken8mano@gmail.com

SNSコメント欄やDM、FBのメッセンジャー等は見落としが多くなります。

また、お問い合わせの際ある程度は素性を明らかにして頂きたく宜しくお願い申し上げます。


○ご来店に関するお願い○

作業ご依頼等の重要な案件でご来店の際は必ずアポイントメントをお取りください。

車検や引き取り、配送等の業務ならびに地域行事や会合、会議で留守の場合がございます。寝てるだけの時もありますが(´∀`)

ふらりと遊びに寄って頂くのは勿論大歓迎ですが、上記理由により不在の場合はどうかご理解ください。

尚、現在すぐにその場で作業可能なのはオイル交換や微細な調整等の軽作業のみとなります。

以上よろしくお願い致します。

RadJalopy 浜野建介





















2023年1月21日土曜日

ドラッグスター400とクルーザーというカテゴリー。

 みなさまご機嫌麗しゅう。

なんか暖かくなってきた?と思ったら寒波襲来ですよ。

寒波=不必要に撒かれる塩カル

詰んでます。

まぁ仕事に集中しろって事なのですが

ウチはハーレー以外ではヤマハの入庫率が比較的高めです。


スズキとカワサキどーした


で、車検でお預かりのドラッグスター400クラシックと

新入庫のドラッグスター。

2003年式で走行距離12000kmチョイという低走行車なんですが

我ながらよく低走行の素ノーマル車を探してくるもんですホント。

私ドラッグスター400何気に好きなんです。

空冷Vツインですし国内専用車だけあって日本人好みのハンドリングとポジション

あと完成されたスタイルね。

ドラッグスター400の場合、新しくなればなるほど洗練度が増していきます

基本性能は全然変わらないし外観も大して変わってないのですが

最終のインジェクション車だと中古で80超え、場合によっては100超えですよ奥さん。

なので個人的には価格的にも2000年以降の4TRからVH01Jに変わったあたりがオススメです。

それでも20年前のバイクなんですよね既に。


4TRからVH01Jへのモデルチェンジではメーターが電気式になったり

それに伴って燃料計が装備されたりシート表皮が変わったり

ハンドルが変更されたり排ガス規制に対応したり

ディスクローターが変更されたり馬力が1馬力落ちたり

タンク容量が1L減ったりシート高が10mm上がったり

途中からイモビライザーが装着されたりしましたが

1番デカい変更点がヘッドライトなんすよ。


前に飛び出したカスタムちっくなトンガリデザインのシェルに奥目なリム。

ボリューム感とか高級感みたいな感じでの採用なのかもしれませんが

所詮プラッチックの成形物ですからそんなのいらねー!

私ぁヘッドライトはギュッとしてシュッとしてるのが好みです。


なのでヘッドライトのみ4TRのシンプルなヤツに交換しました( ´∀`)

多分誰も気づかないし気にもしない純正流用改ですね。


んで光軸調整しようと思ったら調整ネジが片方全く効いていませんで。

コレはありがちな樹脂ナットの崩壊かと思ったら

既に崩壊済みだったようでフランジナットに入れ替わっており

コイツが共周りしていました。


なので純正部品を取り寄せて普通に調整できるようにしました。

この樹脂ナット、古い車両では2輪4輪関係なく結構破損していて

車検時に困ったりする事があります。

ゴムに次いで樹脂部品も経年劣化が激しいので

部品が出るうちにしっかり交換しておくと良いですよ。


っつーか出目金奥目ライト(もはや意味不明)より断然こっちのがカッケー!

いや誰も気づかんけども。

ちなみにこちらの車両すでにSOLDなのですが

私の独断で勝手に作業しております。

自腹で。


しかしこうして素モデルとクラシックを並べると上手くキャラクター設定したもんだなと。

ハーレーで言うとFXとFLの関係性なんですが

ハーレーの場合FL(ツーリングモデル)があってFX(カスタムモデル)が派生しましたが

ドラッグスターの場合ツーリングモデルであるクラシックの方が派生モデルです。

ヤマハが何に重きを置いていたかがよくわかりますよね。

こういうところがハンドリングのヤマハなんだよなぁ。

ちなみに

ホンダはシャドウ400出してからカスタムモデルとしてスラッシャーを後出ししました。

スズキは倒立フォークをブチ込んだり常に変態路線ですし

カワサキはドラッガー造ってたかと思えばバルカン(ちゃんとクラシックもあった)

で不人気路線まっしぐらでした。

まぁバルカン400はFXWGみたいな雰囲気を醸し出してて良い感じなんですが

それゆえにイミテーション感が大きくなっちゃったんじゃないかと。

400ccガラパゴスクルーザーで売れたのがスティードとその牙城を崩したドラッグスター。

やっぱ基本的にスタイルなんですよね。

そこにハンドリングも加わったからドラッグスターは強かった。


そもそもこのカテゴリーを「アメリカン」って呼んだからいけなかったんですよね。

日本製のアメリカンって一体何やねんw

偽物ちっくな呼び名のせいでユーザーの本物嗜好が削がれちゃった。

クルーザーとして見ればこのカテゴリーは各メーカー個性が出てて面白いんですよ。

おかげさまでこのカテゴリーは現在絶滅危惧種で

モノホンのアメリカンでありクルーザーであるハーレーの方が幅をきかせてる。

何とももったいない事です。

だから私はこのクラスを好きで乗ってる人は好きです。

プアマンズとか妥協案としてじゃなくてこのカテゴリーが確立されていれば

現代の各メーカーのラインナップも変わっていたでしょうね。

ここ数年ずっと売れ続けているレブル250が

最初はロードスポーツを名乗っていたのに今はクルーザーに変わってるわけで

案外とクルーザー需要って高い気がするんですけどねぇ。

と、いう偏見に満ちた考察でございました。



ではさらば!