2021年5月26日水曜日

輸送車両修理。

 


みなさまごきげんよう( ´∀`)

修理記ばっかりの記事ですが、、近所でメール便を配達されている方がおりまして

これまではレッツ2で配っていたのですが、雨の日が大変という事で

ジャイロキャノピーを購入されまして。


72歳のステッカーボムがめっちゃカワユス( ´∀`)


ヌコ中心のボムですが

雫は雨の日を意味してるのでしょうか。


フロントは雫が無くてお花が咲いています( ´∀`)


お魚とか缶詰とか、なんかストーリー性があって良いですね🎶

で、最初に持ってきてもらったのは納車直後で、右後輪がパンクしたとの事。

タイヤは納車時に交換してもらったそうです。


確かにタイヤは新しく、明らかに交換されていますがパンクの形跡は無く。


って言うかコレタイヤ交換した人の仕業以外の何物でもないですよね??

確かにここの割りピンは脱落防止でしかない代物で、

そもそもハブナットが緩むなんて事はあってはならないんですが

こういう安全に関わる部分に対する姿勢っていうのは大事です。

と、言うかバイク屋が割りピンの一本も在庫してないのは問題ですし

割りピン代をケチっているとしても問題です。


で、チューブのバルブが切れてますね。

と、言うかタイヤ替えたなら交換して欲しいところです。

で、その時はチューブ交換してちゃんと割りピンを入れてお返ししたのですが。


2ヶ月後


どうも調子がおかしいっぽいとの事で点検のご依頼を頂きました。

乗ってみると確かに遅すぎるしブレーキも全然効きませんで。

フツーにアブネーっす(汁


出足が遅く坂も登れないのでキャブをチェックしますが

マニやトップキャップはゴテゴテに汚れているのにキャブボディだけ綺麗。

不動車オコシでキャブ「だけ」洗ったんでしょうね。

さすがにエンジンかからなければ売れませんもんねぇ。


で、エアリードチューブが抜けたままです。

排ガス規制後の原付の多くはエアクリーナボックス内にエアコントロールバルブがあり

そのバルブからエアリードホースがキャブに接続されているんですが

このバルブ、何をしているかと言うと

エアスクリューの調整を吸気温度によって自動調整しています。

ですのでキャブのエアスクリューは頭がD型になっていて簡単にはいじれなくなってます。

なのでこのホースが抜けっぱなしだとどうなるか?

は、わざわざウチのブログを読みにきてくれている皆様には説明不要ですね。

こういうホースや配管の接続忘れを無くす意味でも

全体を綺麗に清掃してから作業する事が大事です。

そりゃ手間ですし掃除代なんて請求できませんけども。


左リアブレーキのアジャストナット締まってません。

フルブレーキで思いっきり右に曲がります。

コレ、パニックブレーキのシチュエーションだと反対車線に飛び出すって事ですよ?

前後ブレーキ調整してプラグ交換して全開走行してマフラー焼いてお返ししました。

何とかマトモには走れるようになって喜んでもらえたのですが

目に見えて調子が良くなるのが楽しいらしく

もっと良くするべくマフラー交換と駆動系メンテナンスもご予約頂きまして。

ホントは売ったバイク屋が売る前にする事なんですが

事故や大きなトラブルになる前で良かったです。

まぁ私もロクなもんじゃないのにこういうバイク屋ネガティブな事を言うと嫌われますが

ダメなもんはダメですので。

お客様や真面目にやってる同業者に謝れ!

という気分です。


で、配達車両繋がりで今度は新聞屋さんのメイト2台まとめて入庫。

エンジンも開けてキャブもマニュアル規定値で調整してもらったのに

両車ともエンジンのかかりが悪くて吹けも良くないとの事で

マフラーが詰まっていない事を確認してサクッとキャブ調整。

マニュアルの数値はあくまで参考値であって現車の状態に合わせて調整しないと

調整機能の意味が無いです。

と、まぁひさしぶりに2ストをちょこっと触ったというお話でした( ´∀`)

と言うか郵便に新聞にメール便と、町内の配り物系フルコンプリートですねw

ありがたい事です。


ではさらば!





2021年5月25日火曜日

TW200キャブO/H

 みなさまごきげんよう( ´∀`)

今日はキャブレター修理でして。

以前タイヤ交換でお預かりしたTWなのですが、その際に

駐車中に凄くガソリン臭いんですとご相談頂きまして

目に見えてオーバーフローしているわけではないのですが、

作業の合間にじっくり観察していると、数時間に1滴にも満たない微量なガソリンが

オーバーフローパイプに滴っていました。


取り敢えず、ジワジワ漏れてるというご報告のみでお渡しになりましたが

後日ダダ漏れしだしたようで修理ご依頼頂きました。

漏れている箇所の目星はついているのですが、そこから漏れるという事は

全体的にかなりヤレている可能性があるのと

漏れている箇所はアッセンブリーパーツで純正を取り寄せると高くつくので

岸田精密さんのお世話になる事にして

内部をリフレッシュする事にしました(´∀`)


それにしても毎度驚くのは燃調キットの内容の濃さだけにとどまらず

この内容、この精度にもかかわらず非常に良心的なお値段で

正直スゲーっす。


で、漏れているのは予想通りニードルバルブではなく、バルブシートのOリングです。

で、Oリングはペタペタに痩せているのですが

シートはキャブボディにガッチリ固着していて外れません( ´∀`)

Oリングが痩せて隙間が出来ているんですが、その隙間が汚れて固着しているので

漏れるのに抜けないんですねコレが。

キャブボディを温存しながらアレコレして抜き取ります。

ちなみに、ココへアクセスするにはフロートを外さなければなりませんが

フロートピンも抜けませんで( ´∀`)

フロートピンには向きがあって、キャブボディに→が鋳出してあるんですが

この→の向きを勘違いして反対から組んじゃったんですね。

組む時は叩き込めば何とかなりますが

コレ、外す時はキャブボディを割ってしまったり非常にハイリスクです。

矢印は抜く方向です。

これもキャブを壊さないようにやんわり抜きました。


抜けないと言えばパイロットスクリューも抜けない。

外してみたらバネが入っていませんで。

このバネは緩み止めやクリック感の為だけでなく、深い穴の中に刺さったスクリューを

分解時反力で押し出す役割もあります。

特に外周部にOリングが入っているこのタイプは

Oリングが穴の内周に突っ張っているのでバネが無いとマジで抜くのに苦労します。

まぁ何とか抜くんですけどね、、、、


内部パーツはこれだけ交換して、調整して漏れチェックしたら修理完了です。

上記のような組み間違いがあると、組む時は何とか組めるものの

バラす時は通常の2倍以上の時間と手間をかけて作業するハメになりますので

パーツの向き、必要な部品、ゴムパーツへのシリコングリース塗布など

元と同じかそれ以上を目指すつもりで作業して頂きたく思います( ´∀`)

で、今回のような固着やゴムパーツの硬貨によるトラブルを確実に防ぐには

定期的な分解点検が一番の予防策です。

キャブに限った事ではありませんが

壊れてからバラすより、壊れていないのにバラす方が実は無駄が無く費用も安いので

梅雨の乗れない時期を活用してたまにはバラしてあげてください🎶


では!








2021年5月13日木曜日

中古車の買い方は色々だけど。


 みなさまごきげんよう( ´∀`)

バイクシーズンに突入しまして、さらにコロナ禍という事もあるせいか

オートバイを買いたいという相談をここ最近よくお受けしまして。

まぁ私はオートバイ販売業ではないので、私が見て信頼できるお店を紹介したり

購入にあたってのアドバイスなんかをさせて頂いたりしています。

で、まぁオートバイを買うとなると出来るだけ安く買いたいですよね。

それは消費者として当然の心理ですし、私もそうです。

だからこそ言わせて頂きましたら


高くて良いものを買っとけ!


という事です。

もうね、世の中のルールとして基本は安かろう悪かろうなんですよ。

例外的に凄く良いものを安く提供されているパターンもありますけどね。

中古車においては余程の良縁でない限りは殆ど安かろう悪かろうです。

まぁ今日はそんな話にお付き合い頂きたいわけですがですね、


イヤー、私もオートバイを買ったんですよ(´∀`)

1990年式のZX-10でUK仕様のB3です。

当然、私はオートバイはタダで手に入るところから始まっていますので

今回も安く買っています。

ヤフオクでwww

↑常連の皆様はご存知の通り私が全力で止める買い方です


ちなみにこの写真は外装を全バラして徹底的に洗車してポリッシュした姿ですが

実際引き取りに行った際に見たコイツは傷だらけの埃だらけのボロボロで

やってもーた感満点でした。

でも月木デクスターの手曲げフルエキと、前後新品のタイヤを履いていたので

当然それらの代金はペイできる値段で買っているのでまぁ損はねーかと。

この損っていうのがまた個人差が色々あるわけなんですがね。


出品時の写真はですね、ビショビショですよ(´∀`)

濡らしておけば真っ白になった樹脂は黒くなるし傷だらけの外装やスクリーンも

綺麗に見えるんですよ奥さん。

コレを知っていると濡らしたままの出品写真を見た時点でボロさが判断できます。

普通はそんな状態の写真を販売用に使いませんからねw

この車両の出品者はバイク屋さんで、買取で入ってきた車両をヤフオクに流したわけで

要はプロから見て「ダメダコリャ。。ヤフオクに出して処分しよう」となった車両。

エンジンかかりそうでかかりません

タンク内錆無し

レストアベース

ノークレームノーリターンノーキャンセル

これです。

ただ、平成30年の11月27日までは車検があって、それから乗らずに放置との事で

車検証によると前回車検時からの走行距離は3000kmです。

それならまぁちょっと修理すりゃスグ乗れるっぺと思うのが入札者の心理ですわな。

で、そんなボロクソの車体を分解して綺麗にしていきます。

まず愛着の持てる外観でないと何もヤル気が起きませんので( ´∀`)


カウルをはぐれば色々見えてきますが

リーザーバータンクが真っ茶色ですよね。


ホース破けてますよね。

ちなみにこのホースはメーカー廃番です。


中は腐食してグチョグチョですよね🎶

ZX-10はフレームを貫通したアルミパイプにホースを接続して、

その先にサーモスタットハウジングとラジエーターキャップがあるという

冷却水の管理を怠ると即死な設計になっています。

このようにパイプが腐食してホースをクランプできないレベルになると

どうなるかはご想像の通りですw


クーラントなのかチョコレートシロップなのかわからない液が満たされています。

もう徹底的に水路とリザーバータンクを洗浄しまして

サーモスタットはどうせ峠しか走らない事もあって

カワサキ純正流用でローテンプサーモ化して、ラジエーターキャップ交換と。


アンダーカウルの中には断熱材が敷いてあって、5mm厚のカラーでカウルを押し広げてあり

エキパイの干渉対策だと思いますがおもくそアンダーカウルは溶けていまして


ギリギリのクリアランスでエキパイをかわすようにアンダーカウルを最小限加工。

そもそも5mm(左右で10mm)もカウルを押し広げるとデザイン性も損ねますしね。

コイツが当時世界最速であったのはカウルデザインもあってこそのものですから。


サイレンサーバンドを固定するボルトは突き出しが長すぎ。

これだけ突き出しているとフルボトムでブレーキホースを引っ掛ける恐れがあります。


ピッタリの長さのボルトに変更して固定ナットは薄型Uナットに。

内側への張り出しは可能な限り最小限に留めるべきなんですよ。


クラッチフィールが変だと思ったらプッシュロッドのブッシュが激しく摩耗。

これはクラッチ関係に相当無理がかかっていた事を意味します。


その無理がかかっていたクラッチマスターの中はドブですw


ドブなのでヘドロも普通に溜まってますw


クラッチはバッチバチに張り付いていまして

分解してチェック。

スチールプレートはメーカー廃番なのでシコシコ磨いて錆を落として

フリクションプレートを洗浄してオイルに浸して組み戻して

マスターとオイルライン、レリーズも洗浄してクラッチは切れるようになりまして

キャブレターを分解清掃してようやくエンジン始動です。


白く劣化した樹脂類は全て黒く復活させまして

割れの多いアンダーカウルは樹脂溶接にて修正という具合で

後はブレーキと駆動系やってようやく検査受けれるかな?という段階。

さて。

このZX-10が再び公道を楽しく走れるまでに行う作業ですが

外装全バラ清掃、バフがけ
黒樹脂パーツ劣化修理
スクリーン研磨
カウル類破損修正
エンジンオイル、フィルター交換
ウォーターライン洗浄クーラント交換
サーモスタット交換
ラジエーターキャップ交換
クラッチマスターO/H
クラッチレリーズシリンダーO/H
クラッチフルード交換
クラッチ分解清掃
クラッチカバーガスケット交換
ハンドル交換(バーハンから純正戻し)
ブレーキレバー、クラッチレバー交換
ハンドルセンターカバー交換
タンクキャップキーシリンダー固着解除(タンク内錆無しってどうやって確認したんでしょ)
ミラー左右交換(鏡面がガタガタでした)
シート交換(写真には写っていない切れがあった為)
メーターマウントブッシュ新品交換(劣化してガタガタ)
キャブレターO/H
キャブヒーター撤去
フューエルポンプ交換
フューエルフィルター交換
フューエルホース交換
エアクリーナーエレメント交換(K&N)
↑今ココで、この後
前後ブレーキマスターO/H
前後ブレーキパッド交換
前後ブレーキフルード交換
前後スプロケット、チェーン、ハブダンパー交換

これで私が思う車検受けて気持ちよく走れる状態。

もちろん走らせればまだまだ不具合は出てくるでしょう。

で、問題はこの普通に車検受けて走れるようにするまでにかかるコストです。

上記の内容で工賃、部品代プラス車検費用で幾らになるでしょうか?

補償付きで売られている中古車はこういう事をやってある

もしくは

こういう不具合が無い、有ってもクレーム対応してもらえるっていう事です。

理由無く安くするっていうのは利益を削るか

予めぼったくっていた上乗せ分を削るかしか無いわけですからね。

もし安くバイクを探しているのであれば額面は高くても補償付き中古車が一番安いです。

このZX-10のように直せばしっかり楽しく走れるようになるバイクはどうか?

ぶっちゃけトータルコストは同じくらいです。

ただ、乗り出すまでにかかる時間をお金に換算するとどうでしょう。

ポンコツを買ってきて直すのに6ヶ月かかったとすればどうでしょう。

直って帰ってきたらバイクシーズンも終わり(´∀`)みたいなw

結局のところ、スグ乗りたいのであればちゃんとした車両を

ちゃんとした価格で購入するのが一番早くて安いんですよ。

ヤフオクでも、稀に大切にされていたとても良い車両を安く購入できる事があります。

でもそれはレアケースであって、いつでもそういう縁があるワケではないですよね。

何せ欲しい時は欲しい!なワケですから人間は。

趣味で楽しみながらレストアしていくという方向性もありますから

そうであればレストアベース車を買うのも有りです。

ですので上記にあるような不具合を抱えた車両は購入金額自体は安いです( ´∀`)

車両を探す場合は自分が何をしたいのかをハッキリさせておきましょう。

私のZX-10の場合、どうにもならなくて手放したオーナー

そして買い取ってダメダコリャとなってヤフオクに流したバイク屋

これ正解なんです。

バイク屋はこれじゃ利益出ないんですよ。

みんなに捨てられたバイクなんです。

だから安かった。

売られたんじゃないんですよ。

いくばくかのカネと引き換えに捨てられたんです。

でも心配は要らない。

お前は俺に救われる為に捨てられたんだから。

そういうスタンスじゃないとこのテの車両は廃車か解体しか路がないんです。

ヤフオクでも一台丸ごと解体された車両のパーツが溢れているでしょ?

もったいない!と思われるかもしれませんが

一定レベルの程度以下のバイクは直して売るよりバラして売った方が利益が出るんです。

そういう事なんです。

何がしたいか、どうしたいか

必死に働いて稼いだお金をどう使うか

お金を稼ぐのにかかった時間

バイクをベストな状態に持っていく為にかかる時間

そういう事をきちんと考えて

最も安く、しかも楽しくオートバイに乗る。

モノの価値を決めるのはあなただし

決められるのはあなただけなんです。

そしてバイクに携わる業者はみんな思ってます。

お客様にバイクで失敗してほしくない。

と。

まぁダマして悪いモノを高く売る輩もいますが

もうそんな事していたら飯が食えない状況ですから。

もしヤフオクでバイクを買うのであれば初期整備にそれなりにお金をかけてください。

買う時ってコレしかない、コレを逃したら次は無いって思い込んでしまいますが

そうでもないんです。

その前に落ち着いて色々精査して、自分にとってベストな1台を手に入れましょう。

私はバイク販売業車ではなくただの改造屋です。

なのでバイクを買う時は皆さんと同じなんです。

そういう人間の一つの意見として、何かしら参考にしていただければと思います。



ではさらば!