油とか冷却水が染み込んでいつまでも乾かないズクズクの土の上。
長くそこに居る車両はそんな土が雨で跳ね返ってタイヤが汚れてるからスグわかる。
でも大体イイヤツはそういう処に蹲ってて、なんともいえない目つきてこっちを見てくる。
手でキックペダルを押し下げてみて、あのゴシュッとした感触があるか確かめてみたりして
ああコリャいけそうだ。
なるべく周りに落ちてる部品やガラクタなんかを集めてきて、日焼けなのか油汚れなのか知らないけど真っ黒なオッサンに声をかける。
オッチャンこのポンコツ「まとめて」幾ら?
値段が気に入らなかったら車両と本命のガラクタはちゃんと残して、どうでもいいガラクタをちょっとずつ減らす。
小屋へ行ってオバちゃんに金を払ったら、ズリズリとヤードから引き出すんだけど意外とスムーズに転がるじゃねぇか・・・・・・・・
波板で囲まれた鉄の門扉を出たら、ポンコツは眩しそうだけれど、それ以上にポンコツが眩しく見える。
地面が泥だと気にならなかったけど、アスファルトを転がしてるとΩ型に変形したタイヤがゴンゴン車体を揺さぶる。まるでポンコツがウンウンと頷いてるみたいだ。
ウチに帰ったらまずエンジンをかけてみようとか思いながら田んぼの中の道をゼイゼイと歩く。ガラクタが重すぎた。
安く借りた車を停められるほどではないどうしようもないようなスペースに引き入れて、夜までかかってエンジンをかける準備をする。
各部に油をくれてやって、泥とサビだらけの車体の中でエンジンだけが黒々と油っ気を帯びてくる。
カストロールを満たしてミッションオイルのドレーンプラグを緩めたら・・・・・・・
クランクケースに泥が詰まってるじゃねぇか!!!!!!!
今頃解体屋のオッサンが笑ってる。
そんな時は
どうしたんだい Hey Hey Baby !