2023年10月21日土曜日

XL883乗り出し整備。

 みなさまごきげんよう( ´∀`)

もう朝晩は寒いくらいになってきましたね。

じきにバイク乗るのが嫌になってくる寒さになるので

今のうちに走っておきたいところです。

が、どういうワケか10月に入ってから異様に混み合っておりまして

車両入れ替えの為にも呑気に走ってられなくなっちゃいました。


さてさて今回はウチとしては高年式な2007年のXL883。

ラバーマウントでインジェクションのモデルです。

「予備検付き」という事で購入されて登録は済んでいますが、、

乗り出し前の整備をご依頼頂きまして。

所謂、「登録すればすぐ乗れます」的な売られ方をした車両かなと。

まぁ車両を見ての判断ですけれどもね。

オーナー様にお伺いしたところ点検整備記録簿などは無いとの事でした。

走行距離は44,000kmで定期的なメンテナンスの結果がモロに出てくる距離です。


まず押し引きが異様に重たく、明らかにブレーキを引きずっていますね。


キャリパーピストンの汚れっぷりからすると定期的な清掃は行われていません。


リザーバータンクのフルード少ねぇなぁ。

つまりパッドが減って油面が下がるワケですから、フルード交換もサボってます。


リアブレーキはキャリパー清掃とフルード交換でピストンもしっかり戻るように。

固まっていたスライドピンもしっかり動くようにしてあげれば引きずりは解消です。

この辺の年式のハーレーに乗る人は

国産と同じようにリアブレーキをあんまり使わないので

まぁこんなもんでしょう。


逆に言うとフロントブレーキをものすごく使うという事なんですが

引きずりが酷いのはフロントの方で

そのせいで引き取り時に軽トラの荷台から落っこちたそうで

公道を走らなくてもヤバい事になるんですよブレーキってヤツは。


ホイールに付着したダストからしてメンテされていません。

タイヤだけは前後新品なんですけどねぇ。

タイヤ交換する際にキャリパーも外すワケですし

ホイールを洗浄したりキャリパーの具合もチェックするはずなんですが、、


ブレーキとしては完全に死んでおります。

片押しの2ポットですが片方のピストンは戻り側が固着しています。


積層したダストからもノーメンテが伺えますよね。


スライドピンも固着していて全くスライドしていません。

清掃も揉み出しもせずパッドだけ交換してきた感じです。


そのパッドは900円くらいで売ってる安っすいセミメタル。

ウチで交換するパッドの1/10ほどの価格の商品ですが、

ご覧のように磨材にクラックが入っています。

異様にダスト汚れが激しいのもこのパッドのせいです。

いつも言っていますし

ブレーキの話だけではありませんが、ホントにオートバイのパーツに関しては

安くて良い物は全く無いです。

一先ず部品発注して他を見ていきます。


エアクリーナーエレメントも凄い状態ですね。

車検を受ける場合、24ヶ月法定点検では必ず点検する箇所ですよ。

ココは新品交換にて対応。


ロッカーカバーからの激しいオイル漏れ。


フロントバンクも同じようにダダ漏れです。

オイル漏れも点検項目なんですけどね。。


ハーレーにおいてはオイル滲みは当たり前なところがありますが

このレベルだとガスケット交換して漏れを止めなくてはいけません。


ココのガスケットは年次改良でどんどん良くなっているものの

オイル管理が悪ければ熱量も上がって劣化も進みますから

ケチってると後々痛い目にあいますよってな話です。

同時にエンジンオイルも交換しますが

ドレーン開けると最初に水が出てきてからオイルもチョロチョロ、、

「定期的にエンジンはかけていました」

みたいな車両に多いです。

エンジンかけてアイドリングさせるだけってのはオイルの乳化を促進するだけで

走らせて熱を入れないのであればほぼ無意味な単なる動作確認でしかないです。

オイルドレーンのラインを洗浄してMOTUL入れておきました。


プライマリーオイルも交換しますが

ダービーカバーのボルトが潰れてて緩められません。

タガネで頑張った傷跡がありますが、

状況からして緩めるのは諦めたんでしょう。

トルクスネジは良い工具を使わないと簡単に頭をナメちゃうんですよ。


抜けないなら抜けばいい話なんですけどね。

ドレーンボルトには劣化したOリングとシールテープ。

テーパーネジじゃないんだからOリングをちゃんと新品使えばシールテープなんて要りません。

Oリング交換してプライマリーオイル交換してきました。


で、フロントのキャリパーですがダストシールがめくれてピストンの戻りが悪くなってます。

ピストンシールが劣化して微妙に漏れたフルードがシール溝を腐食させて太るのが原因です。


味噌汁みたいなフルード。

この年式は吸湿性の高いDOT4ですから、交換をサボってるとこうなります。


ダスト汚れも綺麗サッパリ除去してピストンとシールは純正新品に交換。

この年式はピストンとシールがセット販売になってます。

Jamesからシール単体でも出ていますが欠品でした。

パッドはSBSのシンタードです。

ハーレーの場合純正でシンタードですからワケのわからんパッドを使って

性能と寿命を落とすのはやめましょう。

バイク屋さんはいろんなパーツをテストしてどのパーツを使うか決定していますから

Amazonの短期的なレビューなんかよりよっぽど実戦的なんです。

別に高価なパーツを使ったからといって利益が上がるわけじゃないんです。

費用対効果が高いからその部品をお勧めするわけで

「高い部品を勧めてくる!」って憤るのはだいぶズレた視点なんですよね。


で、一通りダメなところは直していざ試乗してお渡し!

と思ったら500mほど走ってチャージランプとエンジンチェックランプ点灯(爆死


ダイアグを見てみますが過去のエラーがてんこ盛り。。

直したら消しといて頂きたいっす。

で、一旦リセットしてもう一回走ってみて警告灯を点灯させてみると

バッテリー電圧低下かぁ、、、


うーん端子間で13V超えてるし。


レギュレーターも普通に仕事してるし

ステーターも測りましたがモリモリ発電してるしなぁ。

んでしばらく置いとくと警告灯は消灯。

また走ってみて警告灯点灯させてすぐさま電圧計測してみます。


うーん、悪く無ぇが良くも無いか??

とりあえずバッテリー交換して事なきを得ました。

FIだから要求電圧が高いのかな。

コレで様子見てダメならレギュレーター交換ですね。

※結局レギュレーター交換になりました


あとサイドカバーのクリップが割れてブラブラだったのを

トランプさんのステーでしっかり固定できるようにしておきました。

私が作るより断然お安いですし、ステンレスでロゴも刻印されてます。

コレはラバスポ乗りの皆さんにお勧めしたい逸品ですね。


警告灯問題が解決したので、試乗しまして無事お渡しです。

2007年式という比較的新しい車両でしたが

中々に危ない状態でしたね。

こうして見ると

検査に通っただけの車両と公道をマトモに走れる車両は全く違う

という事がよくわかります。

予備検つきや車検付きというのも購入時にはそれほどメリットではありません。

モノを見て判断っていうのも中々難しいですが

ホント中古車買うのも中々難しい時代だなと実感した次第です。

そいではさらば!