2023年7月25日火曜日

点火チューンと三拍子。

 

みなさまごきげんよう!

さて本日は新規お取り扱い商品についてです。

※長文注意


Instagramの方で主に旧車乗りの間で話題になっている

「タマモ点火チューン」

正確にはNEW STANDARD ガバナーですが

こちらの兵庫県における取付け協力店として加盟させて頂きました。

開発はタマモつまりタマムラモータース。

群馬県でヴィンテージハーレー のエンジンを修理している

「群馬の金ちゃん」です。

https://instagram.com/tamamuramotors?igshid=NTc4MTIwNjQ2YQ==

モノとしてはウェイトの重量とスプリングレートを変更したアドバンスユニットです。

元々、「三拍子撲滅運動」みたいな感じで投稿がよく上がってきてまして。

元々、私はハーレーにおける三拍子というアイドリングに全く興味がなく

ウチのお客様の車両も三拍子が出るようなセットアップはしていないのですが

この点火チューンを見ていて気になったワケです。

このアドバンスユニットの本懐は

三拍子を無くすというよりもフルアドバンスに至るまでの進角カーブの適正化じゃないかと

じゃぁビッグツインとアドバンスユニットを共用できるXL系Egでも試したい。

※メインはショベル以前のポイントやダイナS車用です

まぁそもそもエボXL系は点火時期が95年のUSモデル以外はビッグツインと違うんですよね。


でも同じアドバンスユニットでダイナSを組むワケです。

コレも何気に疑問に思ってたんですが。

まぁそれは一旦置いておいて。

私が思うのは、フルアドバンスに至るまでの特性が非常に良くなる

つまりコーナー立ち上がりでのトラクションが良くなるんじゃないかと。

まぁ発進時とか交差点曲がる時とかに置き換えてもらってOKで

誰でも体感できる領域だから話題なんだと思います。

対象はポイントやダイナSで点火している車両になります。

ちなみに点火方式ですがハーレー界は呼び方が微妙なんですよね。

マグネトー点火そしてポイント点火のそれぞれ進角が手動と自動

その後飛躍的に性能向上してVOESを備えたフルトラになります。

フルトラは全てがトランジスタ制御ですが

セミトラはポイントを点火信号検出用に残して点火をトランジスタが担います。

なのでダイナSは一般的に言うセミトラではなく

ポイントレスのトランジスタ点火で機械式自動進角っていう立ち位置ですね。

あとは制御やセンシング方法の違いでCDIと

最近ではダイレクトイグニッションの独立点火ですかね。

時代は電スロになってECUやIMUが色々やってくれちゃいますが。

んでまぁHD純正モジュールはじめウチでも組む事が多いデジタル点火システム。

コレはかなり性能が良いです。

何なら点火マップも自分で書き換えられたりします。

ただ難点は旧車ならではの雑味が薄れてしまう事で

無いものねだりなワケですが晩年のショベル以降の車両は

ダイナSやポイントにデチューンしてそれを求めるワケです。

ワケですが、

求めているものが旧車のフィーリングではなく三拍子のアイドリング

というケースが多々あり、デチューンをさらにデチューンするわけで

そりゃ調子悪いっすよってな話です。

これがFI車だと緻密に点火マップ作って

きちんと燃やしながらポテトサウンド出せたりするわけですが。。

で、そもそもハーレーにおける三拍子って何なのか

リアバンクの失火が原因という説が有力というか実際失火しています。

私なりに考えてみたんですが

ハーレーの場合45度Vツインで同軸クランクです。

なので点火はクランク回転でいくと405度と315度を繰り返す不等間隔燃焼になります。

これがハーレー独特の排気音(とトラクション)を生むワケですね。

開発時は独立点火なんて無いので同時点火が採用されていますが

同時点火自体はエンジンに悪さするものじゃないんですよね。

だって昔はワコーの同時点火ユニットなんかをわざわざ組んでたんですから。

捨て火を出してコイルに負担をかけているようですが

実際負担がかかっているのは

逆電位による消耗と通常より多い回数の点火に晒されているプラグで

HDのプラグの劣化が早いのもプラグをローテーションすべきなのもこの為です。

で、この不等間隔燃焼だと

フロントバンクが燃焼後にリアバンクのピストンを押し上げるのに315度回せば済むのに対して

リアバンクがフロントバンクのピストンを押し上げるには405度も回さなきゃいけない。

んでも点火タイミングはフロントと変わらないワケで、ココがポイントかなと。

この特性を逆手にとって

点火時期を遅らせてアイドリングを下げる(つまりリアバンクをさらにいじめる)と

負荷に耐えかねたリアバンクで失火が起こって三拍子になる。

この失火やプラグの消耗はコイルへの要求電圧が上がるのでコイルも短命になるでしょう。

熱問題も見過ごせませんよね。

ちゃんとしたセットアップでも1速での発進時に負荷がかかると

排気音が三拍子っぽくなる事があるのもこのせいかと。

で、実際正しいのかわかりませんが1号機で三拍子っぽいのをやってみました。

キャブセットはそのまま、点火時期遅らせてアイドリングを下げたのが↓です。


これ以上アイドリングを下げるのはかわいそうなのでコレで勘弁してもらうとして

もうツキが悪すぎてキャブでどうこうできる感じじゃないですね。

この状況で色んなところに負荷をかけたまま何となく走れるように、、

しても決して調子良いとは言えません。

脚を骨折してるのにモルヒネ打って走らせるみたいなもんです。

↓はいつもの1号機。


レスポンス良いですな。

ってかこんくらいじゃないとマトモに走れないんですが。

キャブも点火も結構煮詰めた結果今に落ち着いています。

ちなみにダイナS本体も安っすいアドバンスユニットもダイナテック製じゃないコイルも

組んで以来一度も交換していません(現時点で10年弱)。

それにしてもこのアドバンスユニット、BTよりXLの方が相性良いのかも。

で、今回の点火チューンは低速かつ低回転で高負荷な状態での点火カーブ改善なので

普段乗りでしっかり体感できると予想され

これまでスロットルやクラッチワークで誤魔化していた部分が楽になり

上までブン回すにしても良い感じじゃないかなと思います。

つまり旧車テイストの気持ち良い乗り味。

こりゃ期待度高いですね。

私としてはXL系にも浸透させたく

それは自車でテストしていく予定です。

よってしばらくはビッグツインの皆さんのみ施工対象とします。

商品は間もなくデリバリーが開始されますが

詳細な案内や装着してのインプレッション等は随時更新していきますので

何卒よろしくお願い申し上げます。


※三拍子云々に関する部分は私なりの解釈ですので、間違っていたらご指摘ください


それでは長文お疲れ様でした!