2022年10月21日金曜日

ヒューマンエラー。

 

みなさまごきげんよう。

ブログさぼりまくりでどうもいけませんね。

作業は色々進んでおりまして、進んでいるんですがイレギュラーが多くて遅いです。


緊急の修理もあります。

こちらはクラッチが切れなくなって路上で立ち往生の末レッカーされてきた81FXS。

電話で話を伺った限りではスローアウトベアリングの破損。

なのですが、すでに大きいタイプのベアリングに交換されていたようで、

クリップが外れて脱落していまして。


オイルスリンガーの穴がガバガバに変形しているのも定番ですね。


もうチョイ摩耗が進むと綺麗に丸になります。

裏からプッシュロッドに削られているのがよくわかりますね。


んで、リリースフィンガーシャフトを固定するクリップが無い。

構造的に落ちるような物ではないので、最初から付いていないと推測。


と、言うのもこのスローアウトベアリングキットを使う際にはリリースフィンガーを

写真右の物に交換するようになっていますが、交換されておらず。


交換の目的としてはオイルスリンガーとフィンガーの位置関係にあります。

プッシュロッド先端とリリースフィンガーシャフトの軸位置がオフセットしているので

調整を誤ってもこのようにオイルスリンガーとリリースフィンガーが接触してしまいます。


実際に接触してお互い傷がついていますが

つまりリリースフィンガーが変な角度でスリンガーと接触する事で破損を招いたと言えます。

で、なぜフィンガーが交換されていないかというのは、組もうとしてわかりました。

シャフトに通らないんですよ。

元のフィンガーは当然シャフトに通るのですが、シャフトが少し変形していて

新品のフィンガーでは通らない。


まぁシャフトを少し修正するだけですんなり通るワケですが。

前作業者は諦めて元のフィンガーを使い、クリップを付け忘れたか無くしたかして

シャフトが上下にフラフラ動く状態で組んだという事ですね。

壊れる要素満載です。

きちんと組み直して調整して完了です。

因みにクラッチ調整次第ではココは簡単に壊れます。

よくアジャストナットの締め具合で調整されがちなのですが

前述のシャフトとフィンガー先端、プッシュロッドの位置関係の問題から

リリースレバーの角度の方に気を遣ってあげましょう。

マニュアルでもロータリートップの場合カバーの丸いトコからレバーまで約20mm

ラチェットトップの場合は横の丸いトコからレバーの立ち上がったトコまで13mmと

数字で指定されています。

ワンオフの形状違いのレバーは別ですが、

リリースレバーがこの範囲に無い場合は要調整だと思われてください。

遊びが無くてバツバツだとすぐベアリング壊れちゃいます。


さらに追加でミッションオイル漏れ修理。


本来はリンクを介するところダイレクトにジョッキーシフトなので

ここのオイルシールの負担は通常より大きいです。

また別なところからも滲んでいるようなので、今後の課題ですね。


さらに追加でタペット音が気になるということでスクリーン清掃して


ユルユルのプッシュロッドも調整。

油圧ユニットを捨ててソリッド化されていました。

油圧と違って調整はかなりシビアです。

ソリッドの場合オーナー自身もタペット調整覚えた方が良いかもですね。

ソリッドタペットにはメリットとデメリットがありますが、、

このエンジンでは油圧でイイと思います。

使う部品の選定や適切な調整、構造に対する知識ってやっぱり大事です。

テキトーにやっても何とかなってしまう事もありますが、大抵すぐ壊れます。

ここんトコ、そういうテキトーな事例が多くてちょっと疲れてきました。

二度手間三度手前になるのもそうですが

オートバイが好きな人が手ぇ入れたんだなっていう車両はホント気持ちイイんですよ。

やっぱりね、めちゃくちゃされてると悲しいっす。

まぁテキトーでめちゃくちゃの代表格の私が言っても説得力ゼロですが( ´∀`)


んなワケでさらばよ!