2018年3月28日水曜日

オフセット分割ライザー原型修正。


みなさまごきげんよう。


大変好評頂いております大神戸共榮圏とRadJalopy 共同開発のオフセット分割ライザー。

なのですが、私が担当させて頂いております鋳物の原型が破損してしまいまして。

破損箇所はライザー根元。通常鋳物では抜け難いテーパー状にした為、

万が一抜けなかった時の事を考えて底面のパーツを取り外し易く作っていましたが。。

それが仇となりパキッと剥がれてしまいました。

一度原型を鋳物屋さんにお渡ししますと、再び手元に戻ってくる事は稀なのですが

今回修復の為に戻ってきた原型を目の当たりにし

鋳物屋さんが鋳造に苦労したであろう箇所がよくわかりまして

今回根元を溶接修理しますのでパテも打ち直しになってしまうということで

生産性、加工性、そして造形面と原型を全体的に見直す事としました。


まず足元のテーパー部分を復元し。

縦に走る二本のリブをやや高くしつつ、少しだけ後方へ延長。


そして延長した左右のリブを繋ぐように横方向にリブを追加していきます。

リブはエッジーに見えますが、以前の原型での鋳造結果を元にエッジ立てしていますので

実際に鋳造した際にはもっと控えめになる計算です。


そしてもう一つの懸念事項である加工性の悪さも対策していきます。

初期型ではギリギリを狙いすぎて、穴加工が例え0.5mmでもズレようものなら

工具やボルトの頭が他の部分に干渉するなどシビアすぎまして。

えぐり部分で1mm、後方で1.5mm。Rを取って座面で2mmの余裕を持たせる事としました。

後方に1.5mmも大きくして大丈夫か?というところなのですが

ここで横に渡したリブが効いてくるという作戦です。


その他、抜け勾配の悪かった部分や少しの造形の手直しも進めていき仕上げのサフへ。


サフを磨き上げまして新しい原型の完成です。


縦に走るリブに左右渡しのリブが追加される事で視覚的に軽くなりました。

初期型でも実は左右の幅を1.6mmずつ拡大したり

純正分割ライザーより足を長くしたりという努力はしてきていましたが

これは効果絶大ですね。


クランプボルト部分は比較しなければわかりませんが、確実に拡大されています。

シャープさを演出する横方向のリブは絶対抜いてもらえるという確信あってのもの。


本来であれば、破損部分の修復にとどめればよかったのかもしれませんが。

私が初期型の原型を製作してから、2年の月日が経過しています。

2年の歳月を経て、今また同じ事を「仕事」として行うことが出来るかといえば

やはり無理でした。

より良くする為に最善を尽くす、また努力を惜しまない事こそが仕事だと。

もっと良くなる事が見えていながら目を瞑る事は出来ません。

とは言え、通常こういった我儘は通り難いのですが

それが許される環境で製作させて頂いている事、

そしてそれを支持して頂けるユーザーの皆様あっての事です。


勿論の事ですが、初期型も考えに考え抜き最善を尽くした結果でありますし

今でも只ならぬ愛情を抱いています。

よって今回の原型を「新型」というにはどうしても憚られる部分があるのですが

どちらが良いとか悪いとかではなく

どちらの作品も私ども製作者のスピリットの表れとして受け止めて頂ければと思います。

仕上がりました原型は早速鋳造へと旅立ちまして、

今回は砂の落ちも良くなっていると思いますので仕上がりが楽しみです。

現在、初期型パーカ仕様は完売致しまして、クロームバージョンが少数在庫有りです。

次ロット分より新しい形のライザーがデリバリーとなります。

進捗状況は追ってご案内させて頂きますので、何卒宜しくお願い致します。