2024年3月24日日曜日

他人(ひと)に頼む事の意味。

 みなさまごきげんよう( ´∀`)

シーズンインだというのに悪天候が続いておりますな。


3月21日でコレですよ、、桜咲くのかホントに。

雪じゃなければ雨が続くし、ほんと単車乗りにとっては困ったチャンです。


でと、作業は95年式のゼファー、C7ですね。

リアブレーキが効きっぱなしになるという事で入庫です。

所謂ブレーキ引きずりですが、実はブレーキ引きずってる車両結構多いです。

引きずりと一言で言っても程度によって修理も変わってきますので。

たとえば引きずってるからとピストンの揉み出しを試みる。

それで直るケースの場合、ほんと軽微な引きずりであって

オーナーがよっぽど気を遣って点検してないと気づかないレベルだったりします。

ローターが焼けたり押し歩きが重いレベルでしたら素直にOHが早道。


その辺はキャリパー外して見ると大体判断がつきます。

人は見た目で判断しちゃいけませんが、バイクは見た目で判断してOK。

常に整備されている車両は基本的に綺麗です。

この錆具合からするともうフルOHが望ましいですな。


パッドピンも錆びてますね。

当然、パッドのスライドに引っかかりがあれば引きずりの原因になります。

同じ理屈で片押しキャリパーの場合スライドピンの固着による引きずりも多いです。

車体装着状態でキャリパーが動かないようではバツだと思ってOKでしょう。

あとはパッドのベースプレートの反りも引きずりの原因です。

この辺は熱の入れ方にもよりますが

安っすいワケわかんねーパッドとか使ってるとありがちです。


ディスクブレーキのピストンの戻りはオイルシールのロールバック頼りなのは周知の通り。

これが柔軟性を失っていれば勿論ピストンの戻りが悪くなりますし

意外と外側に装着されているダストシール溝が腐食で太り

ダストシールがせり出してきて悪さをしていたりもします。

実はコレが一番多かったりするんですが、、

ダストシールは正常であっても結構フリクションがあるもので

レーシングキャリパーがダストシールレスなのもその為です。

ちなみに私は個人的好みにてダストシールを外しちゃったり

レーシングキャリパーであるCP2696を使用したりしていますが

メンテ頻度が低い一般的な車両には全くお勧めできませんですよ。


キャリパーピストンの状態も勿論大切です。

特にダストの多いパッドを使用していると、露出しているピストン部にダストが積層

それが固着し、いずれは発錆してピストンを押し戻した際に

ピストンシールやダストシールを傷めます。

いやいや俺ぁそんなにピストン戻さないぜって?

ローターが減っていてパッドが出過ぎている場合

ある程度ピストンを押し戻さないとキャリパー外れませんよね。


マスターシリンダーはリターンポートの詰まりを要チェック。

クッソ細い経路なので整備不良だと詰まりがち=フルードが戻らないので引きずります。

マスターがダメなケースは長期放置車両に多いですな。


色々と分解して検証した結果、これだけの部品を交換する事になりまして。

過剰整備気味ですが、95年式という車齢を考えると

新品部品が出るうちにしっかり交換しておきましょうってなところですね。

まぁブレーキ関係に関しては汎用性が高くてあまり部品には困らないわけですが

世の中何があるかわかりませんしね。

全てリフレッシュという安心を買って頂こうと。

そもそもブレーキをケチるなんて命知らずにも程があるわけで

個人的には性能や耐久性がハッキリしない安物をブレーキに投入したり

整備代をケチるコスト重視の考え方には反吐しか出ませんし

たとえ値段が高くなっても耐久性や性能でキッチリ回収すれば良いという考えなので

安物パーツで安く修理してくださいというような額面しか見えないお客様は

ハッキリ言って作業をお断りさせて頂いております。

そもそも、安くお願いしますってのは部品の単価か工賃を下げる以外に不可能なわけで

ワケわんねー部品を組みたくなければ

手間を省いて得るものまで省くような事もしたくないんですよ。


パッドはデイトナのゴールデンパッドχでいきます。

キャリパーピストン、各シール関係とマスターのピストンおよびカップ

パッドピンとクリップ、Oリングとブリーダープラグも新品。


カップはご覧のように痩せちゃってます。

こういうのは数を見てないと新品と比較しない限りわかりにくいですよね。

で、どこがダメかっていう判断も結局全バラしないとわからない。

特に整備履歴のハッキリしない古い車両の場合は

不具合箇所はフルOHを前提に考えておいた方が良いでしょう。

基本的に、その場しのぎっていうのは不可能だし

その場しのぎの方が間違いなく高くつくので。


そんなワケでリアブレーキ周りはスッキリ一新して

当たり前ですがブレーキ引きずりもバッチリ解消しまして。


お次はオイルとエレメントの交換。

サクッと終わらせてレッツお渡しですよ🎶

だがしかし、、

エレメント下部にあるはずのスプリングとワッシャーが無い。。



本来であれば92022のワッシャーと92081のスプリングが入っています。

これがクランクケースにエレメントを押し付ける役割を果たしているワケで

これが無いとオイルはエレメントを殆ど介さずに流れていってしまいます。

位置的にエレメント交換時に廃油受けに落ちる事もないし

交換時に組み忘れたとしても、部品トレーにこれらが残るはずなんですがね。


本来であればこうです。

私が思うに、あくまで想像でしかありませんがオイルとエレメント交換が終わって

部品トレーにスプリングとワッシャーが残ってたんじゃなかろうかと。

あぁ、組み忘れちゃったよと。

でもさっき入れたオイルをまた抜いて新しいオイル入れてちゃ損だ。

よし、次回ちゃんとスプリングとワッシャー入れようと。

しかしその次回は来ずに車両は現オーナーに売却。

現オーナーはそんな事知る由もなく部品が足りないままエレメントを交換し続けると。

そりゃあ最初からそうなってればそれが正しいと思っちゃいますよね。

ウチとしてはたかがスプリングとワッシャーを送料かけて再発注して

その間バイクはオイル抜いたまま静置。

早い話がコレ赤字なんですよ。

私は基本的にオイル交換くらい自分でやってもらってOKという考えです。

でもこういう事があるので、バイク屋さんでのオイル交換も意義があるとも思います。

自身でオイル交換するメリットって実はコストじゃないんです。

1番のメリットはオイルの状態を自分で確認できる事。

そして作業として自分でやったという確実性。

これくらいですよね。

廃油処理パックを買ったり、手あるいは自宅の床を汚す事を思うとコスト高なんです。

ドレンボルトのネジ山潰したなんて事もザラにありますし。

オイル交換で高い事言われたと。

それはどうなんだ?

オイル交換の工賃なんて1,000円とか2,000円の世界です。

では価格差はどこに出るかといえばオイルそのもの。

そりゃプロとして水に毛が生えたくらいの

1,000kmほどでシャバシャバになるオイルをお客様の大切なバイクに入れません。

コストと性能維持の両面で色んなオイルをテストして取り扱いオイルを決めています。

つまり安い工賃で多くの事を保証するわけです。

必要な部品が実は入っていなかった。

それはバラさないとわからないし

バラしても本来の姿を知らない人間にはわからない。

気づいていない大事なことに気づいてもらえる。

これがプロに依頼する1番のメリットじゃないかなと。

長くプライベーターとして何でも自分でやってきた私自身がそう思うんですよね。

自分で自分が気づいていなかった事に気づく事は無いんです。

自分の為の第三者としてのバイク屋と思えば

たまには自分でやってる作業をお願いするのも良いんじゃないかなと。

自分でやる事が偉いわけじゃない。

愛車をベストな状態に保つ事が偉いんです。

何を大前提にするか、ちょっと考えてみてもイイんじゃないかなと。

そんな事を思う今日この頃ですよ。


ではさらば!