2021年1月13日水曜日

アドバンスユニット。

 

みなさまごきげんよう( ´∀`)

と、形式的にはあけましておめでとうございますってなところですね。


年末に駆け込みで入庫して頂いた車両ですが、1年4ヶ月前にダイナSのローターボルトが緩み

アドバンスユニットがガタガタになってしまったので交換しましたが

今度はローターボルトがツーリング先で折れてしまいました。

そしてその際にご友人が持っておられた新品のアドバンスユニットに交換されたのですが

そのアドバンスユニットが今度はダイナSのベースプレートを削っているという状況で

私としても釈然としないので破損したユニット共々預からせて頂いた次第です。

ちなみに写真右が出先で壊れた物で、左はその際に交換されたものです。


まず1年4ヶ月で壊れたこちらのユニットはガバナースプリングが折れ


ガバナーユニットが暴れてカムカバー内を削りまわった挙句、

ローターボルトを折ったと考えられます。


ガバナーウエイトのロールピンの摩滅と


駆動軸の穴はガバガバに広がっていて


ウエイトの裏も削れています。


ピンというピンに穴という穴が広がってしまっていて

回転物が破損するとどれだけダメージが出るかをよく表しています。


位置決めのロールピンも潰れていますが、これはボルトが折れた際に起こった破損ですね。


対して新たに交換されたユニットはガバナーウエイトがベースプレートに接触して

このように削れており、このまま使用していればスプリングが折れる状況です。

ガバナーウエイトのピンに発錆していますが、潤滑不足と

タイマーカバー内の気密が保たれていない事も遠因と考えられます。


このアドバンスユニットは組み付け時にきちんとグリスアップする必要があり

使用過程でも2500マイル、つまり約4000kmごとに分解注油が必要です。

ポイント点火車はポイントのメンテナンスと併せて

アドバンスユニットも同時に整備する機会があると思われますが

ダイナSなどの投入でポイント接点が無くなってメンテナンスフリーになっても

アドバンスユニットはメンテフリーではないので忘れがちです。


そしてガバナーウエイトのベースプレートへの接触ですが

構造上ユニット自体が手前側にせり出してくる事はまず無いのですが

ガバナーウエイトはスラスト方向に大きなガタがあり、

裏返して見るとガバナーウエイトの駆動軸の圧入が甘く

この圧入不足分だけウエイトは手前にせり出してしまい

ベースプレートを削っていたようです。

最初に交換したアドバンスユニットは当方でたまたま在庫していたもので

新たに交換されたものも多少の違いはありますが同等の製品で

所謂、安いヤツです。

私自身も同じものを使っていたりするのですが

そういえば最初に自身の車両に組み付ける際に、

ローターボルトのセンターがズレていて組み付けできず、返品交換してもらった事を

今更ながらに思い出しまして

私の車両では問題なく継続使用できていますが、明らかに製品としての精度は良くなく

このような品質の部品をお客様に提供してしまった事を激しく後悔致しました。

一概に故障の原因を部品のせいにするのは簡単ですが、

価格の安さ、見積もりの安さ、在庫状況に目が眩んで品質を見落としていた

私の責任も大きいと思います。


よって今後はこちらのアメリカンプライム(元リベラプリモ)のユニットを使う事にしまして


本体はステンレス製でガバナーウエイトにはリテーナーも付いていて

スプリングの折損に対して配慮されているようです。

加えて組み付け時のグリスアップだけでなく、

ガバナーウエイトの取り付け精度もしっかりチェック

ローターボルト取り付け穴の精度もチェックしてから組むようにしたいと思います。

尚、ローターボルトは低強度のネジロック剤を塗布したうえで締め付けますが

ここの締め付けトルクは9Nmです。

一先ずアドバンスユニットを交換してエンジンを始動し、進角させてみたりしつつ

サウンドスコープでベースプレートの音を聴いても接触音はありませんが

もう少し車両をお預かりさせて頂いて実走チェックしたいと思います。



それではごきげんよう!