2024年7月24日水曜日

57FL仕上げ作業。

 みなさまごきげんよう。

いよいよ梅雨明けですな。

旧いハーレーあたりだと走るべきじゃない時期の到来ですが

わざわざ走るステージを求めて移住してきたコチラ神河町は

山の上にさえ到達してしまえばまだまだ走れます。

姫路や神戸あたりだともう旧車殺しな温度でしょうが、、


で、こちらは67歳と超高齢な57FLさん。

リアブレーキが全然効かない件の改善ですね。

ミッドコントロールにするにあたってペダル関係は作り直されていますが、、


ストロークが深すぎてシューがライニングに噛むまで踏み込めない状態。

確かに2リーディングドラムのフロントで十分に止まれるっちゃ止まれますが

ちと旧いハーレーにとってリアブレーキは肝心要の制動装置ですから

きちんとコントロールできるように改善していきます。


具体的にはレバー比の変更とリターンスプリングの増設です。

この、リターンスプリングは改造車において省かれている事が多いのですが

ペダルにリターンスプリングが無く

ペダルの戻りをシューのスプリングだけに頼っている場合

コントロール性は限りなくゼロに等しいカックンブレーキになりがちです。


繊細な動きができる手で操作するフロントブレーキと違い

足での操作となるリアのドラムブレーキにおいては

ペダルの反力というのがとても大切です。

ペダルの戻り=ブレーキコントロールの幅と思っておいて良いでしょう。

微妙にブレーキングしたい場合に

ペダルがある程度戻ってくれないと良いところに調整できないんですよね。

そういうところまで気を配れないと、オートバイの改造なんてできないんです。

オートバイに携わる誰もがブレーキは大事だと言うと思いますが

その割にこういうコントロール性を左右するモノが省かれていたりする。

それってどうなのよと。


相変わらず要らん事ばっかり言って文章が長くなりつつありますが

実際今回も長いっす。

ブレーキの次は外装で、フェンダーを支えるステーが必要なので製作します。

オーナー様ご希望はドリルドのフラットバーでした。

送っていただいた画像と同じようなフラットバーにドリルドで仕上げたのが↑ですが


それだと強度も足りなければ後ろに置いておきたい質量としても不足なので

コの字断面としまして。

こうなると今度は太すぎるし角度によっては穴も見えませんので重くなる。


ですので側面をテーパー状に削ってスムーズに。

角を徹底的に丸めてあげる事でパンヘッドモーターの質感と合わせていきます。


反対側は元のステーだとチェーン逃げてクランクしていましたが

経験上このクリアランスであれば右と同じくストレートでいけると判断。

日頃は激ナローでギリギリのオーダーが多いですが

今回は後ろ側に構造物を持ってくるのが目的ですので。


後方の比較的低い位置にピリオンパッドやテールランプ

フェンダーブラケットが追加されたことで

以前の前方に物が寄っている状態を解消する狙いです。

特にこういった車両では装着パーツの大きさだとか位置が非常に重要なんですよね。


ヘッドライト横に設置されていたホーンは小型な物をココに。


スイッチはプッシュだけで良いのでシンプルな物を操作しやすい位置に。

車検も安心ですね。


キックペダルは軸がガタガタなうえに90度以上に開いてしまう状態で

非常にキックスタートし難いのと、デザイン的に目指す方向と似合わないものですので


大神戸の2型改に。

意匠としてはWRのペダルをさらに軽量化したようなレーシーなものですので

この車両にはピッタリでしょう。


ミッドコントロールにした場合はFX系の折りたたみペダルでない限り

乗車時はキックペダルを出しっぱなしにしておかないと邪魔なので

このスリムなペダルはそういう点からもベストです。


マフラーは直管で住宅事情的に音がデカ過ぎるとの事で

長いバッフルを挿入。

微妙なターンアウト部分はストレートカットに改めました。


ストレートカットにする事でマフラーの整列感が良くなります。

特にこういう曲線の多いマフラーはエンドが真っ直ぐの方がまとまりますね。

ところで、バッフルを入れるなんて簡単っぽい作業ですが

こちらは肉厚のあるステンレス管。

バッフル固定用の穴あけなんかはご自宅作業では苦戦されるでしょう。

ステンの加工は結構難しいんですよねぇ。


で、制作したライトステーと高さ調整スペーサー

左右フェンダーマウントとシートブラケットをウレタン塗装にて仕上げまして。

パーカとかも良いかと思いましたが

綺麗に塗られているフレームの質感と合わせる事としました。

配線関係も終わらせて、、


元はコレですからね。

だいぶスッキリしたかと。


折角綺麗に仕上げられていたのに不細工な追加作業のせいで

ただの67年前のオートバイに成り下がってしまっていた57FL。


今回の作業でこのようになりました。

黒いシートはペイントの黒と位置関係や面積を合わせる為。

個人的に気に入っているのはリアフェンダーの跳ね上げを失わないどころか

テールランプを設置する事でより強調できたところです(笑

よく見るとしっかり跳ね上がってるでしょう?


部品の大きさ、それらが占める面積や色の散らし方

何を足して何を引くのか


今回はそういう事を沢山考えて作業できたので

正直ものすごく楽しかったですね。


これでカッコ悪いって言われちゃうと大ショックですが。


オーナー様にも、この車両の製作者にも納得していだだけると確信しています。


ロードテストで完成後チェックもばっちりクリア。

エンジン自体はきちんと組みなおされていて

非常に調子の良いパンヘッド モーターです。


ブレーキもこれなら何の問題も無いかと。


うん、フェンダーが跳ねてます(しつこい


まぁね、ああやこうや言っても私がイチから造った車両ではないので

他人のフンドシで相撲とってる感は否めませんが

それはメーカー出荷車両に手を入れるのも同じ。

カッコよくなって乗り手が喜べれば誰が何をしようがOKじゃないかと。

不細工にするのは罪だと思ってますけどね。


週末にオーナー様に見て乗ってもらって、OKであれば納車です。

もちろん、OKじゃなければやり直しですが(笑

胸を張って乗ってもらえたら嬉しいなぁ。

ありがとうございました。


さて現在のお預かり状況ですが作業進行中も含めて8台待ちと

相変わらず混み合っておりまして、最短で8月末くらいからのお預かりです。

毎度のアナウンスですが、作業ご希望のお客様にかれましては

いつも通り早めのご予約でよろしくお願いいたします。


それでは!