みなさまごきげんよう。
さて57FLさん。
Instagramの方でガンガン進捗を上げちゃってるので既出感満点ですが
お話を進めていきます。
まず第一にブレーキですが、この車両はトラやBSAに使われている
コニカルハブの2リーディングドラムが奢られています。
しかし全く作動しないうえに、レバーのピボットからケーブルが抜けて
入庫時はレバーが外されているという状態。
このドラムブレーキ、よくある前後アームをロッドで連結して後方に引く形式ではなく
互いのアームをケーブルで内側に引き寄せあうという構造。
部品点数が少なく軽量にできると共に
カムの動く方向を外周に対して前後同じにするという意図かと思われ
非常に効率よい考え方のドラムブレーキであると推測します。
当時最速を争っていたようなバイクのブレーキが効かないはずありませんよね。
まず、ケーブル抜けはアーリータイプのピボットピン(割りピンでとめるアレ)の為
タイコが細いケーブルを使うと割りが引っ張りに対して耐えきれず抜けちゃいます。
ケーブルを単品製作するとなると交換時に面倒だという考えで
トラのケーブルを使ったのだと思います。
しかしトラのケーブルだとトラベル量が多すぎてインナーワイヤーがダルダルになるので
写真のようにアルミパイプを加工したスペーサーが入っていました。
しかし、このブレーキはと言うかドラムブレーキは調整が命。
アジャスターが無ければどうにもならないんですね。
そこでより強度のあるSUSでアジャスターを新設。
ピボットピンも強固なものに交換しまして。
レバーはクランプも含めて剛性感が非常に大事で、たとえばレバーのしなりだけでも
操作したフィーリングが激変します。
ですので、わかってるヤツはさり気なくよいレバー入れてるんですよ。
「ブレーキのタッチが」と口走る人は多いですが
「レバーの剛性が」とか「油圧レシオが」とか言う人はホント少ない。
ブレーキが効くか効かないかの判断基準がズレているというか
そもそもブレーキがかかるのと効くのは違うワケでして
特にドラムブレーキは効かないと言われますが
どこ判断なんでしょう?
ドラムブレーキはコントロールの制御がシビアなだけで
基本的にはちゃんと効くブレーキです。
もちろん重さやコスト、調整の面倒くささからディスクブレーキが主流になったんですが。
向き合い方を間違えて認識も誤るというのはちょっと勿体ないですよね。
で、このブレーキ、パッと見は調整機能がどこにも無く
どうやってアームの同調やシューのクリアランスを調整するのか疑問かと思いますが
ハブにある穴からカムの軸に備えられたアジャスターを回転させて行います。
そう、レンチが無くてもマイナスドライバー1本で即座に調整できるんです。
こういった構造を見ても、如何に調整が大事なのかよくわかりますね。
さて機能面はひとつクリアして、今度はルックス。
この不細工極まりないステーで取り付けられた不細工極まりないヘッドライトは
速攻でゴミ箱に放り込みまして。
GUIDEのトラクターランプに。
もちろん、位置関係はコテンパンに吟味してあります。
このランプはクラシカルで良いのですが、難点はスタッドが1/2で極太なところ。
結果的にナットもデカいので限界まで奥に押し込む今回のようなパターンだと
スペースはギリギリ。
マウントステーの形状で遊ぶ余裕は無しですね。
まぁこの車両はそういう虚飾は要らないスタイルですが。
芯棒のみだったステップは大神戸のステップキットを投入。
純正デザインでありながら小径にされていて芯棒もしっかりしている良いものです。
ステップもレバーと同じく剛性感が大事です。
特にハーレーはステップを踏めるか踏めないかがデカい。
ショボくて太くて長いゴム製グリップも大神戸のロングワッフルに。
長すぎるグリップを後付けしたせいでレバークランプの位置がハンドルのRにかかり
レバーの位置がおかしくなっていましたので。
バラしてわかりましたが、元はインナースロットルだったんですね。
直しきれずぶっ壊して汎用のスロットルホルダーに入れ替えたんでしょう。
何でそんな事言えるかって?
ぶっ壊した跡があったからです。
次いでフロントと同じく全然効かねぇというリアのメカドラム。
ホイールキャップ外すついでにバラして見てみましょう。
このMOONディスク、ドラム外さないと取れないので
ユーザーサイドで気軽に脱着できませんのでね。
スプロケットはぼちぼちだな。
っつーか何だこのシューはww
ツルッツルの摩耗限度。
納車整備に随分お金かかったらしいですが
納車整備でブレーキ見ない?
それとも見ても分からなかった?
シューの交換なんてそんな面倒な話じゃないでしょうに。
リアブレーキに関しては、後ほど良いフィールで操作できるように改良を加えます。
そしてそして、後から行われた改悪作業以外で気になるのはシート。
全体的にはスピード感あるオールドボバーな雰囲気なんですが
シートが大きな本革張りのサドルシートで、明日オシャレ感を醸し出していまして。
わかるんです、恐らく造り手は57FLである事を大事に
洒落たクラシックなスタイルとしたんです。
フォークカバーもナセルも付いていたと思います。
捨てられちゃったのかね。
ただ私げ現オーナーとお会いした限りでは
クラシカルよりレーシーなスタイルがお似合いだなと。
私と違って非常に爽やかな印象の方ですので、バイクは油の匂いがする方向で。
そのシートはリバーブさんでリリースしているHARD RIDE別注の
ナロークラシックレプリカシートをピリオンとセットでインストール。
私はバイクの幅に異様に執着する性癖なので
せっかくナロー化された美しいタンクにはこちらのシートが似合うなと。
この手のシートはTバー状のブラケットで取り付けるのが一般的ですが
その場合フロント側のピボットをメインフレーム上に設置せなばならず
この車両の造り手はそれを嫌ったのでしょう、シートポスト後にマウントを設け
ボールロックピンで固定するという手法を採っています。
よってこの固定方法に合わせてブラケットを作っていきます。
段差があるのは穴位置を合わせやすくする為のストッパーで
シートがチルトしないこの方式ですと
こうしておけばシートの脱着が少し楽かなと。
一応、スライド機能も設けておきます。
あんまり動かす事は無いと思いますが。
肉厚のある部材でみっちり溶接してあるので、まず破損する事は無いでしょう。
ちょっと狭いですがボールロックピンでの固定もギリギリセーフ。
それにしてもこのCARR LANEのピンはカッケーなぁ。
こういうファスナーとかクイックリリース関係の機能部品って見てて飽きないんですね。
ピリオンはすりわりネジとUナットでしっかり固定。
細かい人はアレですね、ソロとピリオンの段差はどうしたんだい?
と突っ込んでくれそうですが。
そこは着座してシートが沈んだ際にピリオンが尻当てになる位置関係です。
そこは背面のラインより乗車時を優先。
ここでソロとピリオンをツラにしちゃうと
シートが沈んだらピリオンに負荷がかかりますので。
あくまでも加速時のストッパーです。
おおお、格段にカッケー!!!
まぁ元が良いからなんですが(笑
これだけ作り込まれたバイクに後から手を入れるとなると
考察やパーツセレクト、もっていく方向性や
改造の手法や内容、製作者の意図まできちんと考えないといけません。
こういう車両に安っすいパーツやあり合わせの物を使ったり
適当な加工を施す事でとてつもなくカッコ悪くなってしまう。
外観はほぼほぼOKなので、お次は後ろ側に足りない質量
フェンダーブラケットの製作へと進みます。
ではさらば!
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