2018年7月13日金曜日

スーサイドブレーキ。


すっかり夏っぽい雰囲気ですが先の豪雨でこちらも少し混乱が生じていました。

我がホームコースである県道8号線も土砂の流出や農道の崩落など

走るには少し注意が必要な状況です。

注意が必要と言えば、結果として作動させるのがブレーキなのですが

そのブレーキが全く効かないアイアンのドラムを分解してみました。


と、言うのもブレーキアームを改造した車体に合わせて下側に向けてありまして。

写真の状態でアームは右から左へ引かれてブレーキカムを作動させる事で

シューがライニングに押し付けられるように開くという当たり前な動きなワケですが。

この組み方ではブレーキカムの直角部分、つまり反対側を使ってシューを押し拡げるので

初期では全くシューが拡がらず、その先で急にブレーキがロックする事になります。


そういう無理なというか設計外の動きを強いているのでシューにはクラックが。


そしてライニングにもシューがきちんと当たっていませんで。

この状態でブレーキが効くはずもなく

というか積極的にブレーキを効かないようにしてあるのと同じでして。


さらには固定ボルトのうちの一本は緩んでいたりと早い話が死ねますね。

そしてドラムのありえないところが綺麗に光っているのも気になりますが

これは切削加工を行ったものである事がわかります。


と、いうのもシューが干渉しないように削ってありますし

シューには擦過痕がありませんので。

で、どうして削ってあるのかと言うと干渉するからなワケですが。

3つ前の画像でホイールベアリングが随分と沈んでいるのが写っていまして


速い話がこの図で言う8Aのスペーサーが入っておらず

バックプレートが内側へ寄ってしまう為です。

正しくは8Aのスペーサーの厚みでバックプレートを適正な位置へ戻してあげるって事で

それを行っていないとプレートはアクスル内でフローティングマウント状態でして

ペダルを踏み込んだ際にドラムプレートが動くというアイアンにお乗りの方は

是非ともここを要チェックして頂きたいと思います。


ドラム、シューを交換してホイールベアリングの位置を戻し

リンクをフレームギリギリ通るように修正した上でアームの向きを正しく直しましたら

当たり前ですがきちんと初期制動からフルブレーキまで効くようになりまして

そもそもスポーツモデルであるXLのブレーキが効かないはずないという感じです。

というか基本的に効かないブレーキなどあるはずもなく。

ドラムブレーキだからと言う人がたまにいますが

タッチやコントロール性、ブレーキが効く向き等ディスクより不利な面はありますが

拘束力としてはむしろディスクより強いくらいなのがドラムブレーキでして

多くの車両のパーキングブレーキやセンターブレーキはドラムでした。

ドラムである事を言い訳にするのはカッコ悪ぃと思います。


ドラムついでにこちらは全く効かないメカドラム。

チェーンラインが狂っているように見えますが


バッキングプレートの回りどめがフレームに噛まないままアクスルを締め上げてあり。


当たり前ですが前方は奥に入ってしまっていまして


後方は浮いている状態で

当然バッキングプレートは歪んでしまい、簡単に言うとオシャカです。

ブレーキが効かない、フィーリングが悪いという方は

ナニもウチに持ってきてくれと言うわけではありません

ブレーキ形式に罪を被せて自分とバイクを誤魔化さずに

システムとして適正な状態にあるかどうか。

ここのところを今一度見つめ直して頂きたいと強く想う次第です。

バイクで怪我をしない為に。

バイクで命を落とさない為に。

そして何よりバイクと楽しく走る為に。