みなさまごきげんにょう。
いきなり涼しくなりましたなぁ。
これからが油冷や空冷の季節。
たまにゃ誰かとつるんで走ったりしてみたいと思ってみたり。
まぁそんな計画でも立ててみたりしますかね。
さて作業は人間ドックならぬバイクドック入庫のCBX。
キャブレターをオーバーホールしていきます。
長編なので飽きずに最後まで読んでもらえるか不安ですが、、
オーナー氏はCBXがオーバーフローによるガスハンマーで
コンロッドがシリンダーをブチ破る様を目の当たりにした事があるらしく。
ここいらで同調含めてリフレッシュしたいとの事です。
まぁ6気筒車でキャブは幅をおさえる為にV字配置なので
キャブを取り外すにはエンジンをチルトさせなければなりませぬ。
なんてバイクだ!
コレ、もしセッティング失敗したり
キャブの組み間違いが後で発覚すると
もう一回この作業しなきゃいけないんですよね。
まぁチルトしてしまえば普通の4気筒より楽ですが。
何にせよあんまり何度もやりたくないので
キャブは一発でキメたいところです。
外観的には綺麗なもんですね。
とにかく初めて触るキャブなので
サービスマニュアルを熟読し
ある程度工程を頭に入れておきまして。
何でもイメージって大事ですからね。
そして何より有難いのは部品取り用キャブが用意されていた事です。
今回はこちらのキャブから色々と剥ぎ取るので
まずこちらのキャブからバラして少しでも慣れていきます。
部品取りキャブの状態が思ったより良かったので
連結ステーやビス類、ショートパーツは
部品取りキャブと元のキャブから選りすぐって
オリジナル状態に近く仕上げる事とします。
因みにここで言う状態が良いというのは
あくまでも金具やビスの頭なんかの話で
キャブとしてはだいぶ死んでいて
部品取りキャブを復元するとなると相当なコストがかかります。
部品取り後も、もしもの時の為にストックですね。
内部パーツは毎度の岸田精密さん。
6気筒分なので壮観ですなぁ。
純正部品もまだ出る部品があるのは確認しましたが
フロートバルブ6個でもちょっとビビるプライスで
燃調キットにはご相談パーツも含まれていて
もうホントありがたいくらいリーズナブルです。
片方3気筒分での交換部品。
キャブ1個として見れば普通のキャブですが、作業精度を揃えるのが大変ですよね。
最初の1個と最後の1個。
作業に慣れてきて最後は雑になるのか
慣れない最初の1個がおかしくなるのか
初めてっていうのと慣れっていうのはね、どちらもリスクをはらんでるなと。
どれだけニュートラルに、イメージをもって取り組むかが大事だと思います。
左グループ完成っと。
部品取りキャブのメッキが生きていたので綺麗になりました。
トップカバーはKEIHINの文字やらを削ってクロームしてあります。
キャブとしてはバブやエフと近しいですかね。
右側グループ。
ここで右端の4番のキャブが基準になります。
キャブ個々の連結はスロットルバルブとチョークのバタフライシャフト
V字の連結はメッキのブラケットによります。
連結時のビスの締め込み順が指定されている通り
このキャブも他に漏れず整列が命ですから
左右の組みを連結する際に不手際があると各部の動きに差が出てしまいます。
左右3つずつのキャブを連動させるロッドは
アルミ製のパイプの中にスプリングとシートを仕込み
スロットルのボールを挟み込む事で少しの予圧を与えつつ
ダンパー的な役割を果たす丁寧なもの。
今回上側のシートが左右とも失われていたので、
ダストブーツと共に部品取りキャブから頂戴しました。
フッ素グリスを薄く塗布してくんでいるので効果は高いでしょう。
まぁね、このリンクは良くできていますが慣れるまでは結構イラつきますね。
やっぱり6連になると壮観ですねぇ。
これがリビルトレベルになるとホント飾っときたいくらいビカビカになるんですが
あんまりやりすぎもね、バイクとの調和もありますし。
オーナーのご希望は整備されてる感を醸し出す事ですので。
ちなみにキャブ再生専門のファクトリーに頼むとホント凄い仕上がりになります。
そしてそういう業者さんに丸投げしちゃいたくもなりますが。
オーナー氏が私に依頼する理由がね。
多分ですが「知ってほしい」だと思うんですよ。
最初にお預かりした時「まず走らせて6発というバイクを知ってください」と。
教えるんじゃなくて知り合いたいという姿勢ですよね。
そして私も知りたがりだと。
一晩ガソリン通してリークチェック。
フロートバルブを馴染ませる意味もあります。
組んでコックONでダダ漏れ!
となればまたエンジンチルトですから。
支給品の新品インシュレーター使用にて組み付け。
社外品ですが硬化した純正より良いでしょう。
問題は耐久性かな。
ちなみにこのバイク、スロットルケーブルもキャブを外さないと外せませんので
非常にバイク屋さん泣かせではあります。
CBX1000は生まれる時代が早すぎたとよく言われます。
今の技術であればFIを採用して軽量に効率よく設計して6気筒サウンドを楽しめるでしょう。
でも多分違うんですよね。
こういう手間隙とか効率の悪さのうえで成り立つからCBX。
クルマで言えばL型みたいな立ち位置かなと。
LはやっぱりRBにはなりたがらないワケで。
まぁL型みたいな屈強さは無いからS20の方が近いか。
なんで日産のハナシやねんw
いやでもCBXのエンジンって中身は結構クルマっぽいんですよ。
与太話はさておき、エンジンの位置出しをキチンと行いつつ本来の姿に。
元々ダブルクレードルで進んでいた設計がダイヤモンドフレームになったワケですが
もちろん6本の排気管が美しくフレームを逃げられなかったのもあるでしょうけれど
整備性の面もあったんでしょうね。
今回はリフレッシュ作業なのでプラグコードも交換。
モールドじゃなくてねじ込み式のコイルなのでコードは7mm。
7mmのコードはNGKでいくとコレかレーシングケーブルですが
ちょうど元と同じ配色のコードがあったのでコチラで。
まぁ無けりゃ作るんですけどね。
製品としてあるならそれがベストです。
元のコードはだいぶヤレていたので綺麗サッパリ感満点です。
ひび割れが出ていたコイルも割れていない物に交換。
全て組み戻したらエンジン始動させて調整に入りまして。
6気筒なので4番基準に5と6を揃えてから3、2、1ですね。
机上で揃えてはいますが、実際の負圧で見ていきます。
で、同調を取るとなると必須なのがこのSST。
キャブスロットルレンチ。
8mmのロックナットを緩めつつマイナスでアジャストスクリューを調整しますが
特にCBXはスペースが狭いのでSSTは必須。
だがしかし、6番のアジャストスクリューのみレンチが入らない。。
ナナメにいけば何とかなるのか?
でもロックナット締めただけで同調狂うワケですからナナメはイヤだ。
ホントどうやっても真っ直ぐレンチが入らないんです。
個体差とかいうレベルじゃないと思うんですが。
ロックナットを緩めるレンチは一般的なものと比べてこのくらい小さく
その辺にある工具では到底代用がききませんので。
こんなモノを造りまして。
ベッセルのドライバーのグリップをカットして
5番と6番専用のスロットルレンチが完成。
このようにして使います。
ノブではなくレンチで回す為に6角にしてあるのもスペースが足らないから。
これで真っ直ぐレンチが入る🎶
この写真からも純正SSTじゃどだい無理なクリアランスなのがおわかりいただけるかと。
そして同調。
6連のゲージを貸して頂いたので楽チンです。
やっぱり道具は大事ですね。
後はロードテスト。
あまりに記事が長いのでひとまずさらばです。
現在の車両お預かり状況ですが
重整備、ハードカスタムは最短12月〜
車検やオイル交換は随時大丈夫です。
少しでも早くお渡しできるよう進めていきますので
何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
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