2024年4月22日月曜日

ジェンマ125①

 みなさまごきげんよう!


本日はですね、ジェンマ125でございます。

最近流行りの長期不動車起こし、自賠責切れたのが平成16年ですから

少なくとも20年間不動車です。

が、20年のうち7年間は私が放置しました。

ある日ふと軽トラに載せられてやってきて

コレを車高短にしてホットロッド風に仕上げたいと。

私的にはまぁ軽いノリだろうと思っていました。

んでキャブは付いてないし動くのかコレと。


で、さらに1年後くらいに欠品だったキャブが持ち込まれました。

しかし放置。

忙しかったとかそういうのじゃないですね。

あってはならない事ですが、私は勝手に本気じゃないと決めつけていたんです。

セカンドバイクだし長年放置されてるし、もう熱はないんだろうと。

時々は気になりながら月日が流れていきました。

そう

他のお客様にバイク愛を熱く語る傍の倉庫の奥にはいつもジェンマ125が居たんですよ。

とんでもねー店ですよねホント。

そしてこの春です。

オーナーがポツリと「そろそろ俺のジェンマをよろしく」と。

7年間何度も顔出してるのにジェンマの事は一言も口にしなかったオーナーがですよ。

基本的にね、お客様に言わせちゃ駄目なんですよそういう事は。

勝手に関係をなぁなぁに決めつけて見て見ぬフリをする。

何故その人がウチにわざわざ依頼したのか。

そういう事に気づけない。

これじゃいけないんですよね。

今さらですが全力で復元作業を行なっていきたいと思います。


キャブは分解清掃したのでとりあえずエンジン始動に向けて、、

あららスロットルケーブルが切れてます。

新品は廃番。

ならばインナー交換をと思いましたが、アウターは錆で詰まって使い物にならず。

ジェンマの場合、スロットルホルダーにケーブルガイドをネジ止めするという

特徴のあるケーブルであり、長さも2m近くあって結構特殊です。

これは純正流用で何とかするしかありませんね。

と言うか何とかしました。

インナーは2000mmの汎用品で

アウターは同じスズキのZZとジェンマの2コイチです。

まぁちょっと無理やりですが、機能は大丈夫。


20年間屋内にあったとはいえ、中々のコンディションですが。

スズキのスクーターにしてはフレームなんか錆びていない方です。

スズキって元々価格の安い車やバイクが得意というか

コストダウン魂がハンパないので

一時期の原付スクーターのフレームや自動車のフロアが下塗りのまま

なんてのはザラでしたから。

逆に、80年中期以前はやたらと真面目で丁寧だったりするんですよね。

ボルトの頭にいちいちSマーク入れたりね。

細かい部品なんかにもいちいちMADE IN JAPANって入れたり。


まぁそんな話はさておき、まず開口部を全部塞いで鬼洗車をかまします。

こうやって裸にしてみるとよくわかるのがリアショックのストロークの長さ。

ショックは穴間で320mmもあります。

そしてそのストロークと剛性を確保する為に

リアショックのピボットはなんと燃料タンクを貫通させてシートレールを跨いでる。

変態かスズキ!!

っつーか真面目かスズキ!!


で、そんな真面目なスズキさんを裏切るべく、ロングストロークのショックは捨てて

70mm短縮のリジッドバーを製作。

縦型エンジンですしね、キャブも背の高いCVですから

流石に車高短でストロークさせる事は諦めました。

中途半端に落としてもオーナーは納得しないでしょうしね。


もう限界値の低さです。

まぁ元が有名なバイクじゃないので全然伝わらない系ですが

マフラーが丸ごとリアカウルの中に埋まっちゃう低さです。


サイドスタンドは純正風味で20mm短縮。

そう、このスタンドをどこまで短縮できるかによっても車高の下げ具合が決まります。

エイヤで片付けてバイクが直立しちゃったってのはね、やっぱスマートじゃない。

不真面目な事を真面目にやってるわけです。


さた、真面目なジェンマがジェン魔に変わりつつありますが

これまた真面目な一面で、こやつちゃんと燃料コックが付いていて

カウルの隙間からマイナスドライバーでリザーブやプライマリーに切り替えられる。

うむ、ダイヤフラムは切れてないっと。


んがしかしダイヤフラムスプリングは朽ち果てて姿を失っておりまして

はやい話がアウト!

で、純正はもちろん廃番。

そしてこの負圧コック、メインとリザーブそれぞれ2系統で入ってくるという構造。

つまりタンクから2本のホースが出てくるって事ね。

多くは1本ホースで入ってきてコック内で2系統に切り替える方式なんですが

まぁたややこしい事を、、適当な原付のコックが流用しにくいじゃねーか。。

いやまぁタンクからの配管を片方止めちゃって適当な負圧コックをブチ込んでも良い。

でもリザーブとかプライマリーは便利だしね、同じ方式でいきたいっすな。

で、こういう変なコック見覚えあるんですよ。

なんで2系統で入ってくんねん!と過去にも憤った経験が。


そうそうれはビラーゴ250のコックです。

コレならまだ新品出ました(喜

新品のコックはホース全交換してリジッドバーにステー作って固定。

この位置ならカウルの裏に手ぇ入れて切り替えできる。

あとは壊れてるスターターリレー(これは新品出た)交換して

新品バッテリー繋げばとりあえず始動できるな。


と、思ったら端子がブチ折れたり


アースの芯線が断線してスッポ抜けてきたりと

まぁ長期放置車あるある的な障害にブチあたりつつ

エンジンオイルとエレメント交換して各部にオイルを行き渡らせたら

いざエンジンスタート!


おおおお!

ガチャガチャやんけ(号泣

なんだ?ピストンリング固着でスラップ音?

はたまたクランク逝ってるのか?

外から検証してても分からん、、、

オーナーの「乗りたいから開けてくれ」という言葉に背中を押されつつヘッド剥ぐります。


カムまわり綺麗。

オイルもしっかり回ってる。

ちなみにMOTUL7100です。


タペットまわりも問題なし。

いやでもバルブが閉じ切る直前の打音は一体何なんや?

とりあえずヘッド降ろすかとカムチェーンに触れましたら


カムチェーンがビロビロやんけ!!


テンショナーでカムチェーン張ってあげたら静かになりました。

いやはやほんとヒヤヒヤしますな。

っつーのも、シリンダーガスケットとカムチェーンとクランクケースカバーガスケットがね

廃番なんですよ。

あとタペットインスペクションカバーも廃番。

エンジン組み直しするには相当根性要るって事です。

ちなみにジェンマ125はカムチェーンテンショナーがマニュアル式です。

ので3000km毎くらいに自分で調整しなきゃいけません。


さてさてお次はハブのところでブチ切れてるメーターケーブル。

何故切れたかと言うと錆による固着です。

錆でインナーケーブルが固まると、大抵はこの接続部で切れますね。

恐らくメータードライブギアの保護の為でしょうね。

で、当然のようにメーターケーブルも廃番、、、

これまた流用で直すしかありません。


どうやって流用できるケーブルを探すのかって?

ヤフオクでひたすら中古のメーターケーブルを見まくるんですよ。

接続部の形状が同じで長さが合いそうなヤツをね、ひたすら探す。

長さはわかんねーだろって話ですが

それは諸元表の全高をベースにすれば大体想像がつきます。

一般的に一番高い位置がハンドルでありメーターはその辺についてるわけですから。

そんなこんなでアホほど時間を費やして見つけたのがアドレスV125用。

少しばかり長いですがジェンマ125にそのまま流用可能です。


ケーブルを交換するにあたり分解しなきゃならないフロントサスのピボットも

やっぱりと言うかサビサビ(汁


なのでディグリースして新たにウォータープルーフグリスを練り込んでおきます。

ってかココにニードルローラーベアリング。

真面目かスズキ!

ちなみにアドレスV100は普通に金属ブッシュです。

まぁメンテしなけりゃブッシュもベアリングも同じですけどね。


結構バキバキに割れているカウル類を補修して組んでみます。

おお!シブい!


ちなみにバーハン化はオーナー自ら行ったものです。

ほんとね、グローブボックス開けたら外したエンブレムとか割れたカウルの破片とか

純正のメーターとかがザクザク出てきましてね。

大事かよ!と。


K&Sスタージスのステッカーが泣かせるぜ。

このリアフェンダーがリムにかかるくらいってのは車高短においては結構大事なディテール。

ええ大人(悪く言えばオッサン)が2人してキャッキャ喜んでおります。


んが、まだエンジンがかかって繋がるべきものが繋がっただけの状態。

ここからメーターの設置、配線の整理やシート張り替えそして実走テストと進みます。

長くなりましたのでその②に続く形でさらば!