2023年6月7日水曜日

オーバー10万キロ。


みなさまごきげんよう。


いやー、梅雨入りですな。

そんでちゃっかり雨も降りますな。

晴れ間を狙って車検に向けた試乗や自分の為の走行など、、

いつ内燃機関が死滅するかわからないので、今のうちにね。

実際、私は郵政保守店としての業務も行なっていますが

郵便配達の車両も電動化が進んでいます。

都市部ではもう赤い電動スクーターの姿をかなり見かけるのではないでしょうか。

まぁウチのような田舎は移動距離が長く上り坂も多いので

航続距離的にも導入は難しいと思いますが。

んで、電動化されて使われなくなった

年式が古く過走行な車両たちがバンバン地方局に送られているようで

ウチの担当する2つの局にも入ってきています。

殆どの車両が10万キロオーバー。。

メンテナンス状況も様々なのですが、コレがまた壊れます。

っつーか壊れたままやってきます。


こちら走行13万キロで異音と白煙で修理依頼の車両。

排気ポートが鍾乳洞みたいになっています。

整備状況を確認すると、7万キロ以降腰下と腰上の整備が7回。

異様な回数ですが、普通にOHしていて排気ポートがこんな有様なのはあり得ません。


バルブガイドすら見えません。

O2センサーも埋まってしまっています。


吸気ポートも、、ペロッとバルブの傘の形にカーボンが見えますが

コレがバルブフェイスに落っこちて噛み込み圧縮が抜けるのが

所謂カーボン噛みという小排気量4サイクルFI車でよく起こるトラブルです。

コレを見ても粗悪なオイルで稼働させる事に恐怖を感じますよね。


ガスケットは液体ガスケットを使って再利用。

オイルラインが液ガスで塞がってますが。


オイルも超メタリックなヘドロです。

画像でもその「濃さ」がわかるかと。


カムチェーンガイドローラーをズレたままにして組んでるので

カムチェーントンネルにガイドローラーの跡がクッキリ。

カムチェーンテンショナースプリングは逆に組んでるのでテンションかかってない。


オイルポンプを駆動するスプロケットは定番の剥離を起こしています。

まぁカムチェーン周りの破損具合はこんなもんっちゃこんなもんですね。


シリンダーはカムチェーンで削られて穴。

7万キロで初OHはまだ頷けますが、回数から考えるに

直してもすぐ壊れての繰り返しだったのでしょう。

っつーかちゃんと直して頂きたいですよホント。

ちなみにJA10の場合4万キロ超えたらカムチェーン周りは一新した方が良いです。



こちらはクラッチの調子が、、、という修理依頼(走行10万キロ)ですが

クラッチではなくリアホイールがガタガタですよという案件。

こうなると疑われるのはホイールベアリングですが


実際にはハブ側が摩耗して嵌め合いがユルくなっちゃってます。


まぁ原因としては色々ありますが、、


このまま走らせ続けると、ベアリングが砕けるのではなくハブが割れます。

実際見ている私が言うんだから間違いねーっす。

こういうスイングアーム剛性の低い車両は特に「組み」も大事なんですよ。

各部の整列やトルク管理、こういうのを疎かにしてるとバチ当たります。


ホイール自体を新品に交換して対応します。

まーアレを使ってナニする方法もありますが、場所が場所だけにね、、

ハブダンパーもちゃんと定期的に交換すべきですよ。


ついでに10万キロ手付かずのフォークもオーバーホールします。

フォークシールから漏れた残りのオイルはヘドロ化。


フォークスプリングは左右とも両端が折れてます。

そりゃね、ダンパー効かないバネサスですから。

バネ鋼も想定外の運動量になると破断しますってな話です。

これらの故障というか破損のひとつの原因としては走行距離もあるでしょうが

こういったシビアコンディションで使われている小排気量車を診ているからこそ

メンテナンスの肝所がよくわかるんです。

いっつも私の話はブレーキちゃんとしろとかサスをオーバーホールしろとか

良いオイルを入れろだとかカスタムの話以前に色々ウルセーと思われてると思いますが

改造車って基本的にきちんとしたベース車ありきなんです。

だって改めて造るワケですから。

その下地がちゃんとしてないと話にならないんです。

ノーマル車でも改造車でも等しく10万キロ、20万キロと距離を重ねられないと

全然気持ちよくなくない?

って話です。

冒頭の話に戻りますが、内燃機関を楽しむ時間も限られてきています。

その限られた時間をどう過ごすか

そういうことも考えてオートバイと向き合うってのは

言うほど大袈裟じゃなく、大事な事だと思うんですよね。

みんなに良い時間を過ごしてほしい。

理想論かもしれないけど

そういうのを手助けしていきたいですね。

ではの!