2021年3月4日木曜日

組み間違い。

 みなさまごきげんよう。

車検整備というか普通に車体整備のアイアン。

リア周りを終えましてフロント側に作業は移行しまして。


フロントもホイールベアリングを交換していきます。


左側は過去に別の車両に取り付けられていた際のダメージでしょうか。

何かしらの要因でハブがフォークアウターに激しく干渉したようで、

削られたドラムがダストシールドと一体化しています。


フロントハブはシンプルにこれだけの構成部品で成り立っています。


しかしダストシールドは削られてしまっているので


そりゃそうですよね( ´∀`)

このダストシールド、チャイナ製のベアリングが入ったリペアキットには付属していますが

今は単品でリプレイスパーツが無いみたいです。

単純にゴミ避けと飾りなので、適当なオイルシールでもブチ込んでおけば良いのですが


今回は両面シールドタイプのベアリングを使う事もあってオープンのままとしました。


そしてギザギザパターンのタイヤはリアと揃いでIRCのGS-11を。

3.50-19から3.25-19にワンサイズダウン。


そしてネックが異様にガッタガタなのでチェックすべく分解しまして。

ボールの状態、レースの状態共にそれほど悪くなく

とは言え下側はボールが1個足りませんでしたが、、、

一旦ディグリースして新しいベアリンググリスを使って組み物します。

もちろんボールは追加しておきました。

さて、ベアリングがおかしく無いのに何故ガタガタなのか?


それはトリプルツリーの構成部品にあります。

アイアンのボールベアリングタイプのステムの場合、

ステムシャフト外径とベアリングレース内径は同一になっていません。


この車両は年式不一致のステムナットを使っているので

目一杯締め込んでもレースを押さえる事ができず

それはアッパーブラケットを組んでも同じ事でして。

何よりもこの組み方だとステムベアリングの調整は一切出来ません。


本来はこのようなスリーブでテーパー状になったベアリングレースを押さえて

この状態でベアリングの調整を行なってアッパーブラケットを組みます。

(説明の為ダストシールドは外しています念の為)

ステムベアリングの予圧というのは昔から色々議論に上がるほどシビアで

走行性能に大きく関与する部分です。

重過ぎると安定しませんし、緩過ぎるとこれまた安定しませんので

これが調整出来ないというのはオートバイとしてはアウトなんです。

それくらい、オートバイにとってセルフステアというのは重要です。

いつも言いますが、攻めるとか攻めないとかスピードレンジの話じゃありません。

オートバイとしての話です。


さて組んでいきますがシャフトのココに入れられている2枚のワッシャーですが

ココにこんな外径のワッシャーを挟むとですね。

アクスルシャフトの右側がフォークアウターに刺さりません。

おまけにホイールのセンターは出ないし、更にはフォークピッチを押し広げてしまうので

フォークもハの字になってしまって真っ直ぐストロークしません。

ついでにフォークアウターに固定されるドラムは斜めになるのでシューが全面当たらない。

何故この状態で組めてしまうのかというと、33.4フォークの支持剛性が弱いからです。

特にハンバーガードラムでフェンダーレスにしていてブレースがない場合は

しっかりアライメント出しして組まなければサスもブレーキも使い物にならず

マトモに走れないシロモノになってしまいます。


シューやドラムも清掃、ブレーキカム周りも整備してスッキリ組み戻しです( ´∀`)


私は修理屋でもなければ優れたエンジニアでもなく、ただの改造屋です。

だからこそ言いたいのは、カッコいい外観とか細かい造り込みと同じくらい

オートバイの基本的な部分に腐心しなければならないんじゃないかと。

自分自身、失敗する事もありますし無知なのも承知なので

偉そうな事は言えたガラじゃないんですけどね。

ただ、カッコいいバイクで気持ちよく走ってもらいたいなと。

それだけです。

さて作業はスピードメーターの設置とウインカー関係へと進んで

火が飛ばない症状を直して車検に行ってきたいとおもいます♪


そいではさらば!