みなさまごきげんよう(´∀`)
今現在お預かりの車両は先日構造変更検査を通した以外は
ひたすらパテパテパテ、、、とかなり粉っぽい作業が続いています。
油っこい作業は郵政車両の保守点検と、農機具や自転車の修理なんかがありますが
時折、下駄がわりに使われているスクーターの作業を承る事がありまして。
今回はこの新し目のAF56、所謂スマートDIOというバイクで
毎日往復1kmの距離にある畑に行くのに使われているという車両です。
オーナーは75歳とご高齢ですが、昔にも2輪に乗っておられたとの事でした。
今回はエンジンのかかりが悪いので100回くらいキックを踏まねばならず
スローを濃いめにして始動性を良くしてほしいというご要望でした。
が、エンジンの特性からして普通にバッテリー交換してセル始動できるようにする方が
コストもかからず確実に改善できますよとご提案差し上げまして修理メニュー決定。
なのですが、色々お話を伺っているとエンジンオイル以外に何かを補充されたようで
会話の中に「2サイクル」という言葉がちらほらと。。
AF56は水冷4サイクルエンジン。
ご自宅に伺いまして実際に入れられた液体の缶を確認しましたらば
混合燃料ですね。
2サイクルオイルと勘違いされたようで、これを何処に入れたのかと言いますと
バッテリー横にあるこの「それっぽい」タンクですが
これはクーラントのリザーバータンクです。
結構タップリと補充されたようですが
ご年齢からしてスクーターといえば2サイクルでオイルは注ぎ足しで
2サイクルといえば混合燃料という事からこのような事態になってしまったと思われます。
高齢化社会ならではの事例といった雰囲気ですが
軽自動車に軽油を入れてしまう若人もいるわけで
高齢化社会というより時代を感じます。
クーラントとガソリンと2サイクルオイルが混ざってしまった訳ですが
幸い水と油ですので水の方が比重が重く、水路まで油は回っていないだろうという事で
リザーバーの経路を分解してタンクとホースを洗浄する事にしまして
排出された液体はまさにスライムでした(´∀`)
水と油の比重についてついでに言いますと
ガソリンタンクの錆取り時に乾燥不足でタンク内に水が残ってしまった場合も
同じ理由から水は底部に集まってきますので
タンク洗浄後キャブのフロート室に水が溜まって不調をきたす事が稀にあります。
ガソリンがいつも入っているタンクの底がよくサビるのも同じ理由で
結露した水分が底に溜まって錆びが発生するので
長期保管時はしっかり燃料を抜くと同時に、結露にも注意ですね。
話が逸れましたが、念のため他の水路も洗浄して綺麗にしましたらば
クーラントを注入しまして無事復活。
ゴミが沢山詰まっていたラジエーターコアも清掃しておき
バッテリー交換とブレーキの調整、タイヤエア圧の規正と点検しておきました。
バイクはご自宅までお届けしましたがご本人はご不在でして
バイクだけ届けて帰ってきたのですが、翌日お代のお支払いに来られた際に
「ブレーキまできちんと調整してもらってありがとうございました」
と。
さすがに2輪乗りだけあってやっぱり乗っただけでお判りになるのだなと
気づいてもらえてちょっと嬉しかったりしました(´∀`)
今回は珍しいトラブルで、クーラントの代わりに混合燃料を入れて油冷化してしまうのは
当然良いことではありませんが
間違えちゃったのはバイクの為を思っての事ですし
車両を購入した販売店は遠方で尚且つ既に廃業されてしまっているとの事で
畑とご自宅の往復が毎日安全にこなせるよう
今後も応援させて頂きたいと思った次第です。
それではみなさまごきげんよう!
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