2024年7月2日火曜日

71XLHヘッドオーバーホール。

 

みなさまごきげんようコウバ長です。


本日は6年前から色々と手を入れさせて頂いております71XLH900。

エンジン不動でお預かりでしたが、圧縮測るとリアバンクが300kpaからスーッと落ちて

圧縮がゼロに。

典型的なカーボン噛みというかバルブがだいぶ沈んでる雰囲気。


さてここでエンジンをどう直すかでオーナー様には色々悩んで頂きまして。

希望としてはBUELLモーターやエボモーターへの積み替えもご検討頂きましたが

↑改造熱が盛り上がりすぎ

とりあえず頭を冷やして、症状的にまずヘッド降ろして状況を確認して

ヘッドOHでいけそうなら今のエンジンを修理するという方向に決定しまして。

ついでにマグ点火はやめて

バッテリーを搭載してダイナSとNSGで確実な点火できちんと燃料を燃やす事にします。


ピストンはオーバーサイズ入っていますので過去に開けたとして

リアバンクのヘッドボルトはユルユル。

シリンダーベースナットも確認したらユルユル。

ウチは改造車の入庫も当然多いんですが

ガワばっかりでエンジンや足回りがクソな車両が少なくないんです。

この車両も元々リアブレーキもステムもガタガタで

走るためのセットアップに時間とお金を費やしてきてるんですよね。

最近もとある車両を整備しましたが

エンジン組んだばかりなのにオイル漏れまくりで

構成部品もバイクの基本がなってないうえに

挙句の果てには試乗でミッション脱落という惨状でした。

そういうのは一部の車両だとわかっているんですが

少なからずこういう事例があるから

「納車で廃車」みたいに言われちゃうんですよね。

もうちっとオートバイと真摯に向き合ってもいいんじゃないかなと。

やっぱり愛されたいじゃないですかオートバイに。


かなりカーボン積層していますね。

これは粗悪オイルで高負荷で酷使されてる郵政車両に近いコンディションです。


ヘッドもモリモリ、、

EXのバルブがだいぶ沈んでいます。


こうなってくるとタペットクリアランスがどんどん詰まって

バルブがきちんと閉まりきらなくなったり

カーボン噛んで圧縮抜けを起こしたりしますね。

当然タペット調整は以前行っていますが手遅れだったようで

今更調整してもバルブの当たり面も広くなるので面圧が下がり

圧縮が抜けやすくなりますので

今回の症状とビンゴです。


お見事な抜けっぷりです。

と、まぁ理屈ではわかっていても私はエンジン組めるような人ではないので

信頼できる内燃機屋さんにヘッドを丸投げしまして。

丸投げというとアレですが

ド素人がああだこうだ言わなくてもプロはモノ見たらわかってくれますからね。


そいでもって内燃機屋さんから戻ってきたヘッドがコチラ。

バルブガイド入れ替え

EXバルブシート製作と打ち替え

バルブ交換とシートカットに擦り合わせ

勿論セット長合わせやリーマ加工、シート打ち替えにあたってザグリ加工と


ビシバシに仕上げていただきました。

流石というか流石ですね。

やはり餅は餅屋、内燃機は内燃機です。


この状態からであればマメにメンテして適切に扱えば長持ちする事でしょう。


後は新品ガスケットできちんと組んでいくだけ。

なんですが、やっぱアイアンは組みにくい、、

エボはその辺とても組みやすいんですよね。

如何にエボモーターがフレンドリーかわかりますが

まぁアレもアレなりに注意して組まないと色々不具合起こります。

まぁウチで出来るのは腰上までが限度ですのでぎ承知おきください。


一先ずエンジン始動すべくキャブをOHしてイグニッションコイル設置。

ココにコイル付けるのは好きじゃないんですが

どうしてもスペースがありませんでした。


マグは抜いてブロックオフ、ダイナSとNSG組み込み、点火時期調整。


ところでダイナSですが、最近センサーローターがガバナーの軸にハマりにくかったり

ガバナーへの引っ掛かりがキツくてスムーズに動かない物が散見されるのですが

ここのところベースプレートのバリが大きくてスルスル回らない個体が多い。

ダイナSを組む際はベースプレートに2箇所あるこのバリを削っておくと

点火時期調整が非常にやりやすくなりますよ。

勿論カムカバー側も綺麗にしておくのは大前提です。


しっかりオイル送ってあげて簡易配線でイグニッションON。

キック数発で無事始動に成功しました。

当たり前っちゃ当たり前ですが。

もはや言い尽くされていますが、エンジンが生き返るのは何度経験しても嬉しい。

オイル漏れも異音もありませんので

お次はバッテリーの搭載

それに伴いハーネス引き直しと継続検査を受けて走り込みへと続きます。


では!