2019年7月15日月曜日

トラブルシューティング。



みなさまごきげんよう。

梅雨時ですがいかがお過ごしでしょうか(´∀`)

さて本日は突然エンジンがかからなくなったというエボスポです。


皆さんご存知の通りエンジンが動くには圧縮と点火と燃料でして。

まず簡単なところからタイミングライトを使って点火をチェックしましたら

火花は出ているようなのでキャブを疑っていきます。


コックの影になっていて見えにくいですが

本来の負圧コックへ繋がるホースが抜けているのがわかりまして。


差込口が劣化してボソボソになって抜けたようですが


盲栓がしてある先端もご覧のように千切れておりまして何れにせよ限界ですね。

負圧ホースを仮で繋いで栓をしたらあっけなくエンジン始動できまして

割とアルアル系のトラブルでめでたしめでたし。。。

とはいかず。。

試乗の為エンジンをかけようとしましたらまた始動しません(´∀`)

再びトラブルシューティングモードに突入しますが

今度は火が飛んでいませんので点火系が怪しいですね。


と、その前に負圧ホースの処理と、キャブがかなりくたびれているので

キャブをしっかりメンテナンスして不安材料を潰しておきます。

これだけ外側が吹き返しで煤けているので要セッティングですね。


フィルターはUNIフィルターですがこちらも使用限度ですので交換。


CVキャブでバックファイアが激しいとここも真っ黒に煤けますし

通路の関係上バキュームピストンのダイヤフラムにも悪影響を及ぼします。


こういった入り組んだ箇所は分解時に綺麗にしておきます。

外観はをはじめ内部は今後調子を見ていくにあたって不具合を見つけやすいように

きちんと清掃しておきたいところですね(´∀`)


バキュームピストンも真っ黒ですので洗浄しますが

バックファイアで焦げた樹脂部分がわかります。


そしてエンジン側はスライド部がインナーボアの形に摩耗して段が付いています。

この状態ですとスライドバルブがガタガタでよろしくありませんので

ストックしていた中古品と交換。

このキャブはダイノジェットが組んでありましたがスローは#42と純正のままで

ミクスチャーをかなり開けてあったのでので、#45に変更しました。


キャブボディも綺麗にブラストしておきます。


ダイノジェットを組むと加速ポンプノズルがぶっとくなるのでわかりやすいですね。


負圧の取り出し口は栓をして塞いでしまいます。

この車両はダイナSを組んでありVOESは使っておらず

燃料コックも負圧から落下式になっていますので

余計なホースを残さず、不要なものを撤去する事で予めトラブルを回避しておきます。

因みにここの栓もしっかりしておかないとバックファイアで吹っ飛びます(´∀`)


漏れ漏れでエンジンやキャブを汚していたブリーザーのパッキンも交換しまして。

左の黒いのはニトリルゴムコーティングが施されたシールで

樹脂製と比べて格段に耐久性が高いですがお値段も高いです。

一般的キャブサポートですとスペーサーの分も含めて8枚くらい使うものですが

熱のかかるエンジン側をニトリルに、外側をプラにするという節約もアリですね。

因みにワンスロートキャブカバーキットのブリーザー一体型キャブサポートは

このシールを4枚しか使わないので長く使えばシール代がお得ですw

ぜひご検討くださいませ(´∀`)

↓ワンスロートキャブカバーキット↓

と、宣伝はさておき。


全体的にリフレッシュしまして。


取り寄せに時間がかかっておりましたUNIフィルターを組み込んで完成です。

が、火が飛ばなくなった原因を探らねばならないのですが

火が飛ばなくなる原因の1つとしてバンクアングルセンサーの誤作動が考えられますので

センサーのカプラーを抜いてA線とB線を短絡させてチェックしますが火は飛ばず。

そしてバンクアングルセンサーカプラを元に戻してチェックすると今度は火が飛ぶ!?

つまり火が飛んだり飛ばなかったりと、かなり適当かつ気まぐれな点火状況のようで

こうなってくるとダイナSのピックアップセンサーが怪しくなってきます。


で、タイマーカバーを開けて見ますとご覧のようにセンターボルトが緩んでいます。

と、ここで単純にボルトを締めて解決しようとすると落とし穴にハマりがちですので

きちんと分解してチェックする必要があります。


ご覧のようにアドバンスユニットの位置決め用のロールピンが摩耗しています。

センターボルトが緩んでアドバンスユニットが踊った結果ピンが摩耗し

点火時期がデタラメになったのが始動不能の原因でした。

時々始動できていたのはたまたまアドバンスユニットが正しい位置に居たタイミングで

恐らく走っている際も点火時期がズレたり進角しないといった調子だったようです。

緩んでもタイマーカバーに押さえられる形でピックアップローターが外れないので

どうにかこうにかセンシングして火は飛ばしちゃうみたいです。


元のアドバンスユニットはプリモのステンレス製のハイパフォーマンスタイプでしたが

センターのピンも抜けてしまっていますしロールピンの打ち替えだけでは

きちんと精度を出して修正するのは難しい(私の技術では)と判断し

アドバンスユニットを交換して対処しました。

このセンターボルトは締め付けトルクがかなり小さく

ギザギザワッシャーを使ったり低強度のネジロック剤を使用して

きちんと緩み対策を施しましょう。


タイマーカバーの固定ネジは純正のタイマープレートを止める皿ネジが使われていますが

こちらも適正なトルクでの締め付けが出来ないのと見た目の問題から変更しておきます。


そんな訳で調子を崩す要因となっていた燃料系と点火系をリフレッシュしまして

調子の良い状態に持っていくことができました。


さらには、リアタイヤが限界まで摩耗しているのと2011年製と随分古くなっており

これでは危険ですので交換させて頂きます。


純正のダンロップD401ですが

ここまで断面形状が変わってしまうと最早別のタイヤに変化しています。

タイヤが摩耗したり劣化したりという現象には走行は勿論ですが

エア圧の管理も大きな割合を占めていますので

月に1度はエア圧チェックを行うようにするだけでも随分違いますね。


今回はフロントにTT100GPが入っていたのでそれに合わせる形で

ダンロップのK527をセレクトしました。

TT100GPは割とブロックがゴツゴツしているので、似合うタイヤは限られますが

K527はセンターと両サイドのパターンがTT100GPと似ていて違和感が少ないです。


パリッと組み直しまして、リアサスペンションを交換された車両にありがちな

パツパツに張っていたベルトも適正値に調整しておきます。

今回は走行に関して体感でわかりやすい箇所の変更でしたので

各部のリフレッシュを実感してもらえたら嬉しく思います。

このエボスポーツは新車から長く乗られている車両ですので

今回の作業がこれからも気持ちよく乗って頂くお手伝いとなりましたら幸いです。

それではみなさまごきげんよう!